第12話【ドンちゃん達のどんちゃん騒ぎ】

「カホルとは会ったんだよな?」

「はい、この間会いました」


キョクがハックを寮の皆に会わせようと案内する


「じゃあ102号室のカホルは飛ばして101号室のドンの所に行くか」

「ドン?どんな人ですか?」

「気の良い力持ちだよ」


101号室【ドン】と書かれた表札のある部屋から何だか賑やかな声が聞こえて来る


「また皆で呑んでいるのか」

「皆?」

「暇な奴が集まってドンの所に集まって呑んでいるんだよ、ったく

ドンー、入るぞー」

「キョクさんいらっしゃーい」


ドンの部屋に入るとそこは酒瓶やらツマミやら散らかっていた

そしてそこには様々な男が居た


「紹介するぞ、こいつがこの部屋の主のドン、鍛冶もやっているワーキャット」

「どーもドンちゃんでーす」


太めで筋肉質な猫耳のオッサンがジョッキを片手に上機嫌で返答する


「そっちが売れない新聞記者とギルドを掛け持ちしている鷲の鳥人のトーホク

部屋は上の201号室」

「よろしく!!」


背中から羽の生えた男がにこっと笑いかける


「で、そこで突っ伏して寝てるのがドワーフのダラン

202号室で修理屋もやってる」

「ZZZ」


酔い潰れているのか眠っているダラン


「そしてこのギルドで斧術家やっている203号室の住人、クハル爺だ」

「爺は余計じゃ」


白髪で年老いた老人が酒を呑んでいた


「斧術家ですか?」

「何じゃ?何か文句でも有るのか?」

「い、いえ、お年の割に凄いなぁと思いまして」

「儂も長生きして80ちょっとじゃ

最後に一花咲かせたくてこのギルドにやって来た」

「・・・・・」

「安心しろ、死にはしねぇよ」

「爺、酔ってるのか?」

「黙ってろキョク坊」

「何かカッコいいッスね」

「分かるか、若いの、えーっと・・・」

「あ、ハックです、よろしくお願いします」

「おお、よろしくなハック、じゃ駆け付け一杯!!」


ハックに飲みかけのジョッキを渡そうとするドン


「俺未成年なんで酒は・・・」

「何だ、つまらんなぁ!!」

「じゃあ、代わりに俺が呑むか?」

「お、いーね!!下手なギターでも弾きながら飲めや」

「ギターは置いて来たよ、ハックもツマミでも食べたら如何だ?」

「えー?じゃあ頂きます」


キョクが酒を呑み、ハックがつまみを食べて、どんちゃん騒ぎが始まった

結局キョクは酔い潰れ、夕方になってハックはやっと解放された

ハックが『そう言えば204号室の人を紹介して貰ってないな』と気が付いたのは

ベッドに入って寝る時だった

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