第11話【キン姉の要求】

キンとハックはちゃぶ台越しに向かい合った

無論妖精のキンはとても小さい為、人間用のちゃぶ台の上に妖精用の小さいちゃぶ台を乗せて

その前に座っている


「で?何用?」

「はい、実はポーチを作って欲しくて」

「ポーチ?何でまたそんな物を?」

「でぶ妖精の家代わりに」

「ふぅん・・・まぁ良いよ、但し、分かっているよなぁ?」


キンがにたり、と笑みを浮かべ、頬に指を添えた


「・・・何が?」

「恍けんじゃないわよ、積んで貰おうじゃないのさ肩の高さまで!!」

「・・・えーっと」

「きちんと対価は貰う、って言いたいんだと思うよ」


キョクがフォローを出す


「な、なるほど・・・御幾らぐらいかかりますか?」

「このキン姉さん、金で動く程安い女じゃあない」

「じゃ、じゃあ何を・・・」

「ふふふ・・・」


微笑みを浮かべると

キンが自分の引き出しから幅の広いコップを取り出しハックに差し出した


「このコップ一杯なみなみと金平糖を貰おうじゃないの!!」

「・・・こんぺいとう?」


ハックは田舎町の生まれなので金平糖を知らなかった


「砂糖菓子の一種だよ」

「お菓子ですか?良いんですかそんなので?」

「我々妖精にとってこんぺいとう風呂は

金貨風呂に相当する位の成功者の証!!」

「安い成功者だな」

「うっさいわよキョク!!」

「と、とりあえずこんぺいとう買って来ますよ」


ハックはお菓子屋さんに行って金平糖を買って帰って来て

コップにザザーっと注いだ


「わぁあああ・・・」


目をキラキラと輝かせるキン


「じゃあいっちょやりますか!!」


キンがそう威勢良く声を発すると針と糸を取り出し

様々な部品を組み合わせ瞬く間にポーチを作り始めた


「完成!!」

「はやっ!?二分も経ってないぞ!?」

「流石はキンだなぁ・・・」

「へっへー、まぁこんな感じかな、付けて見て」

「ん」


ポーチを付けて見た、速い仕事だからハックは心配していたが

成程、自信があるだけの事は有る

しっかりとした仕上がりでベルトも短く出来ると機能性も充分である


「おぉ・・・凄い」

「でしょー?じゃあ私はこんぺいとう風呂を堪能するとするわ

じゃあねー」


そう言うとコップを引き出しの中にしまい、引き出しを閉めるキン


「忙しない奴だなぁ・・・君、これからの予定は?」

「一日フリーです」

「じゃあ丁度良いや、寮の皆を紹介するよ」


ギターを置いてキョクが立ち上がる


「良いんですか?」

「良いって、下手なギターの練習するよりはずっと良いさ」

「下手なギターって・・・えぇ・・・」

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