第10話【キョクさんとキン姉】

朝方ギルドに顔を出すハック


「おはよーハック」

「キューさん、おはようございます」

「キューで良いよ、さん付けは年取っている様に見えるし」

「え?結構大人びた感じだけど・・・」

「まだ17だよ」

「タメかよ!?」

「まぁ人生経験は多い方だけどねぇ・・・来て貰って悪いけど今日は仕事無いよ」

「無い?」

「んー、正確には専門的な技能が必要な物だけしかないしね・・・

刀の研磨に図書館の蔵書の整理とか・・・出来る?」

「無理かな・・・」

「じゃあ今日は休んでたら」

「そうする・・・」


ハックは寮の自分の部屋に戻った、ヴェンデスが部屋で勉強し

でぶ妖精は黙々とちくわを食べていた


「おかえりー」

「・・・ただいま、おでぶちゃん」

「お、帰ってたハック、その調子じゃ仕事が無かったってパターンか?」

「まぁそうですね・・・」

「じゃあでぶ妖精と戯れていたら?」

「にょ?」

「んー・・・そうだなぁ・・・おでぶちゃんのおうちでも作ろうか?」

「おうち?」

「そ、今はハンカチを布団代わりに寝ているけども、それじゃあ寂しいだろうし」

「じゃあポーチとかが良いんじゃないか?一緒に冒険出来るぞ?」

「ヴェンデスさん、良さそうなアイデアだけどもポーチって高そうだし

今の俺の持ち金じゃあ・・・」

「じゃあ隣の部屋のキン姉に頼んだら如何だ?」

「キン姉?」

「裁縫が得意な奴だよ、買うよりは安上がりで済むから造って貰いな」

「へぇ・・・」


ハックは隣の103号室に向かった

表札には【キョクとキン】と書かれていた


「すみません、新入りのハックですが、今大丈夫でしょうか」

「鍵かけてないから入んな」


ハックは扉を開けるとそこには濡れた様な黒髪に

端正な顔つきの男がギターを抱えて床に座っていた


「君が新入りか、カホルから話は聞いてるよ、極衛門だ、キョクさんとでも呼んでくれ」

「ええ、じゃあよろしくお願いしますキョクさん

実はキン姉と言う人に裁縫を依頼したいのですが・・・一体何方に?」

「そこのタンスの引き出しだ」

「え?」


キョクが指差した先には洋服ダンスが有り、【キンの部屋】と書かれた引き出しが有った


「えーっと・・・」

「キンは妖精だからな、スペースが小さくて済む、ノックはちゃんとしろよ」

「は、はぁ・・・」


ハックは引き出しにノックをすると引き出しが勢い良く開いた


「誰?」


引き出しの中から煌びやかな、と言う表現が似合う妖精が現れた

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