未だ見ぬ君へ

あんにんどうふ

未だ見ぬ君へ

※これは全てノンフィクション及び私の父親の話です。


私は驚いた。

医師から父の余命宣告を言い渡されたのだ。


私の父は東風谷栄治えいじ。49歳の会社員をしている。

が、父は余命6ヶ月を言い渡された。父は末期がんを患っている。あと少し早めに受診すれば、助かるはずだったのに。

この2ヶ月前、父と母の間に子供が出来た。私はお兄ちゃんとなった。しかし父は、子供の産まれる瞬間、顔、声等を聞くことが出来ないまま死んでしまうと思うと、まったくもって遺憾だと叫んでいた。

余命宣告をされた後、家でずっと泣いていたという。子供に会いたいという気持ちでいっぱいだと父はいつも言っていた。

父は、子供に向かっての手紙を書いた。その手紙は、内容の濃いものだった。私は読むと、泣いてしまった。父が居なくなるかなしみ、父の遺憾な心は分かる。

母も泣いていたときが多々あった。

最後になるが、父が書いたその手紙を読んでほしい。

ここからは手直しのまったくしてない模写した手紙を、読んでほしい。



まだ見ぬ君へ


優しい子に育ちますように。

お母さんを大切にしなさい。お母さんだけではなく、皆に優しくしてあげなさい。

お父さんが居なくても、堂々と生きなさい。人生を終えるまで、決してあきらめないこと。

お父さんはこれから、病気のクライマックスに入る。咳が酷くなったり、血を吐いたりするかもしれないけど、最後まで病気と戦いぬく。人はね、必ず見えない壁にぶつかるんだ。

その壁を乗り越えて、負けず劣らず、頑張って生きなさい。

今もお父さんは咳こんで、鉛筆もまともに持てない。けれど、お父さんとしての最後の贈り物だ。

人の為に尽くせるち人間になりなさい。

美しい言葉で飾らず、行動で示すこと。いくら美しい言葉を言っても、行動が疎かでは、ダメだよ。

そして最後に、お母さんを守ってあげなさい。


さようなら



お前たちがいい子に育ちますように.....


まだ見ぬ君へ



※少々漢字に直した部分有り

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