第11話 ゴブリン狩の日々
昨夜は少し飲みすぎた。
少し頭が痛い。
休みにしようとも思った。
しかし、社会人は少しぐらいの二日酔いでは休まない。
フィオレラには土魔法を覚えてもらう。
攻撃は駄目だということで石の壁を魔力で作る様に指示をした。
無属性で思いついた事がある。
小説の場合に念動を上手く使う描写があった。
やってみるか。
まずは小石だ。
爪大の物を念動で飛ばす。
木に向かった小石はかなりのスピードでカツンと音を立てて当たる。
いい感じだ。
よし拳の大きさに挑戦だ。
遅い投げるより早いが遅い。
更に大きい小玉スイカサイズだ。
遅い、魔獣には絶対当たらん。
飛ばす対象が重くなるほどスピードが落ちるという事か。
小石の場合は木にめり込むことなく弾かれた。
しかし、傷が付いた具合から手で投げるより早くゴブリンを殺す程ではないという事が判る。
非常に残念だ。
でも挑発には充分だな。
幾つか小石を背負い鞄に入れておこう。
フィオレラの方を見ると魔力で石の壁をだしている。
「フィオレラそろそろ行こう。練習の時間がないので土魔法はアビリティのままで使ってくれ。狩は昨日と同じ手順で行く。罠に踏み込むのを躊躇っているゴブリンがいた場合は小石を飛ばして挑発する」
森の奥は静まり返っていて飛ぶ小鳥もいない。
不安に駆られながら罠ゴーレムを設置する。
出足の不安とは裏腹に今日も好調だ。
ゴブリンは特に挑発しないでも罠ゴーレムにホイホイ掛かる。
ゴブリンは何故こんなに罠に掛かるのだろう。
たぶんゴブリンは早い成長と高い繁殖力が武器なんだ。
沢山死んで少数が生き残るのを前提にした生き物だと思う。
今日の狩りも上手く行った。
昨日と同じぐらい稼ぎだ。
この調子でがんばりたい。
裏庭に罠ゴーレムと荷車置かせてもらっている。
今度何かお礼しないといけないな。
フィオレラは罠ゴーレムを洗浄スキルで綺麗にしてから土魔法のスキルを獲得する為の練習を開始した。
魔力で出した分厚い石の壁を維持する。
五分ぐらいで消えた。
魔力切れの様だ。
燃費わるいな土魔法。
フィオレラは休んでは練習するを繰り返す。
俺はスキル鑑定の練習をした後に魔力操作の練習をする。
結局夕方までにフィオレラは土魔法のスキルは得られなかった。
魔法使いが少なくて新人の平均年齢が高いのも分かる。
ただし、魔法使いは一番の高級取りだ。
その魔法使いは火魔法、水魔法、風魔法、土魔法のどれかのスキルを持ってる人を指す。
魔法使いの本を読むと変わった使い方の例が載っている。
熱くない火。
鉄より硬い水その癖柔軟に動く。
鋼より硬い石。
空気の塊で切り裂ける刃を作る当然見えない。
要するに創造魔法の一種に思える。
使ってみたかった。
フィオレラに土魔法のスキルを得たら、魔法使いギルドに登録するか聞いてみた。
強力な魔獣や盗賊の討伐に借りだされるので嫌だと言っていた。
それに、スキルを短時間で獲得できるのを知られたら、危険だ。
登録の目はないな。
その日は終わり。
翌朝相変わらず静まり返っている森を進む。
さて、罠を仕掛けられそうな所は少し開けた場所に出た。
なんか腐臭がする。
臭いの方に目をやるとボロボロの皮鎧を着けた白骨死体が三体飛び込んできた。
「フィオレラ遺体がある。見ない方が良い」
「はい、でも大丈夫です」
健気に振舞っている。しかし、嫌がっているような雰囲気だ。
「俺は近寄って遺体を調べる。その間警戒してくれ」
腐臭が一層強くなった。
おかしい。
白骨になるほど放置されていれば臭いなんてしないはず。
武器であったろうナイフを調べる。
錆びてない。
帰ってからこの事を調べよう。
財布はすぐ見つかった中を見ると銀貨数枚と銅貨数十枚が入っていた。
盗賊にやられた訳ではないらしい。
よく見ると頭蓋骨に陥没の痕がある。
ゴブリンにやられたのだろう。
状況は分かったように思う。
ギルドカードを回収した。
全員Fランクだ。
埋葬しよう。
掘る道具を持ってないので泥ゴーレムを次々に作って地面に穴を空ける。
四体のゴーレムを作った。
もう充分だろう。
遺骨を丁寧に穴に移す。
ギルドカード意外の装備も穴の中に入れる。
泥ゴーレムで蓋をするように覆い被せる。
終わったな。
「フィオレラ、祈りの言葉とかない?」
「あります。魔力の根源に魂が召されますように」
俺も後に続いて同じ言葉をつぶやく。
「ゴブリンも侮れない。俺達もああならないように気をつけないと」
「安全が一番です」
「所で兜してる人あまり見ないけど、どうしてだ」
「ある程度強い魔獣には鎧や兜は気休めみたいです。兜をするのは初心者か上級者だって孤児院の子が言ってました」
なんとなく分かる。例えばオークだ。資料で見たオークはでかいあの巨体で筋力強化を使ってくる。
たぶん棍棒の一撃でも食らったら、鎧や兜は関係ないのだろう。
避ける事に集中するには視界を遮る兜は邪魔なのだろう。
防御に関するスキルでもない限り厳しいのかな。
うちのパーティは出来れば前衛はゴーレムにしたい。
「今日はもう帰ろう。ゴーレム作るので魔力をだいぶ使ってしまった」
ハンターギルドに行き事情を話してギルドカードを渡す。
大変感謝された。
森で死ぬと遺体はどうなるか資料室で調べた。
肉は三日で分解されるらしい。
骨や硬い皮は残るが一ヶ月も経つと消えるという。
植物が良く育つ訳だ。
次の日から罠を使ったゴブリン狩を八日も行うとゴブリンの数が少なくなり始めた。
ゴブリンは繁殖力が凄いので絶滅はしないが、稼げない。
森を奥に進むとオークの領域だ。
罠ゴーレムではオークは厳しそうに思える。
なにしろオークの足は太い今の罠では挟めないだろう。
大きい罠ゴーレムを使うと制御の負担が増えるから、ゴーレムの数を減らさないといけない。
すると罠に嵌めるのが難しくなる。
それにオークの領域ではスピードタイプのオーク以外の強い魔獣もいる。
罠を突破される危険性は更に増すと思う。
遠距離攻撃をする魔獣もいると聞く。
しょうがないので次から草原ウルフを狩ることにする。
スキルの練習でフィオレラの場合スキル習得は進み。
生活魔法二種と土魔法を覚え、筋力強化と罪状確認も覚えた。
今はスキルの熟練度を更に磨く為に練習している。
罪状確認は門番が使っているのを分析したら、どうやら感情で魔力が乱れるのを魔力を使って感知しているみたいだ。
良心の呵責を知りたいというイメージで魔力が乱れを感知しろと教えたら、フィオレラが獲得する事ができた。
さて明日から草原ウルフ狩だ。
一般的な狩り方は昼間巣穴で寝ている所に煙玉に火を点けて投げ込む。
苦しくなって出てきたのを狩ると言うのだ。
そこに一手間加える。
その実験の為に草原に行く。
「フィオレラ、土魔法の消費魔力は体積に比例するんだったよな」
「はい、そうです」
「試しに石の網を地面に広げるように半径五十メートルで出してみてくれるか」
「【土魔法】こんな感じでどうです?」
フィオレラはこれを何に使うのか分かっていない様子で疑問に思っている感じだ。
「網の目は槍が楽々とおせるぐらいに出来ないかな」
網の目が少し広がる。
おお素晴らしいイメージ通りだ。
「さて強度はどうかな」
試しに槍で何度か切りつけてみる。
「大丈夫みたいだ。鉄と同じぐらい強度がありそうだ。そのまま維持してくれ」
三十分経ったが維持できている。
「フィオレラ、ありがとう。もう消していいぞ」
準備は出来た。
明日から草原ウルフ狩だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます