最終話 観察期の終り

 

 やっと、やっとだ!

 特例、三鷹ケイジ君への接近遭遇への許可が下りた!

 私はいてもたってもいられないような気持ちを抑えつつ。

 過去の彼を真似して授業中に手紙を渡した。

『今日の夜に屋上に来て欲しい』

 ああ、ようやくケイジ君とお話出来る。

 たくさんお話出来る。

 これは――星で言うところの――であり、地球で言うところの――


 UFOの前に二人。

 少しの緊張感漂う。

 最初に言葉を発したのは三鷹だった。

「俺を誘拐しに来たのか?」

 レイラは首を横に振る。

「違うよ、この――は未届け人みたいなモノ」

「見届け人?」

 小首を傾げる三鷹。

 レイラは深呼吸をする。

「ケイジ君、私は――」

「ちょっと待った」

 言葉を遮る。

 三鷹もレイラと同じように深呼吸をした。

「せーので言わないか?」

 これで、放つ言葉の内容が違ったら恥ずかしいけれど、一方的に言われるより恥ずかしくないと三鷹は思った。

「う、うん」

 顔を赤らめながら頷くレイラ。

 二人は、せーのっと掛け声を放ち――


「お前の事が好きだ、シロホシ!」

「私はケイジ君のことが好き!」


 二人の顔が真っ赤になる。

 鏡面のUFOがキラキラと輝いている。

 

 こうして二人の非接触交流は終わりを告げる。

 これからは直接的な会話でもって、交流が始まる。

 異星間の価値観の違いによるすれ違いもあるかもしれない。

 いつか別れが来てしまうかもしれない。

 だけど今だけは、宇宙の架け橋となった二人に幸福を願おう。

                ――星地球観察総合日誌より。

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