27 ユキのパート その9
「いよいよですね」ユキが言った。
「なんだか緊張します」シンが言った。
「大丈夫です。きっと上手くいきますよ」針山が言った。
いよいよ、システム再起動の時間が近付いていた。
シンはゲーミングチェアに座っている。頭にはヘッドセットディスプレイを装着し、両手の掌と甲、それに両足裏と足甲に端子が取り付けられている。
「再起動後、あなたはアイランドに侵入します。侵入ポイントは、ダマスの街の外堀から約三キロ離れた地点です。何もない草原地帯ですので、誰にも目撃されることはないと思います。アイランドに入ったら、まずはスマホを持っているかどうか確認してください。それから、巾着袋に入れた所持金も持っているはずです。確認してくださいね。そして、シンさんの希望の鋼の剣です。これも、最初から所持するようになっています。」
「わかりました」ゲーミングチェアに座っているシンが答えた。
「アイランドに入った後は、スマホを使って私と連絡をとることができます。何かあればいつでも連絡をしてきてください。相談に乗ります」
「了解です。……ユキさん、お世話になりました。ありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございました。……寂しくなりますね」ユキは言った。
「ユキさんにもSMSを送ります」
「ええ、待ってます。私もメッセージ送りますね」
「早くアイランドに行きたいのが本音ですけど、ユキさんともう一度くらい一緒にスタバに行きたかったなぁ」シンが微笑みながら言った。
「私もですよー。とにかく、無事にアイランドに入れることを、祈ってます」
「はい。祈っててください」
「さぁ、そろそろですよ。行ってらっしゃい」針山が言った。
「行ってきます。さよなら」シンが言った。
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