①
▽妻・佳苗の手記
〇8:30 朝(ニラ卵、スープ、サラダ、ごはん)
朝9:00くらいから、不定期だけど張りが感じられた。
間隔は14minだったり、7minだったりとまちまちだ。
そうじ洗濯などの家事を全て終わらしたくて、洗たくそう、ふきそうじをやった。食事もちゃんと取らなきゃと思い、必死に用意。まだ強く張る程度の痛み
〇12:00 昼(厚あげ豆腐、しいたけ、ミニトマト、ごはん)
昼前にガクに連絡。まだ10~12min間隔のこの頃、おしるしに気付いた。ドロッとした赤茶のおりものみたい。だんだん痛みが強くなってきたので病院にtell。
ガクの帰りをまって、歩いて病院へ(7~8min間かく)
▼
あら意外に早かったじゃん、と、割と普通な感じで出迎えられ、あれっ、と拍子抜けしてしまう駄目な久我なのであった。
とりあえず、向こうで着るのと洗面用具と……みたいにてきぱきと用意を整えている妻の後ろでウロウロと所在なく立ち回るが、はいジャマ! と脇腹に手刀を打ち込まれながらのけぞりつつ、手荷物を受け取って家を出るのであった。
平日の昼下がりは車通りも少なく、無事、徒歩にて病院に着くものの、ここでも勝手が分からず妻の後ろをオロオロと付き従うばかりなのであった。
勝手にあわあわとしながらロビーで待つこと30分。医師に呼ばれ、六床ある大部屋へと移動する。
きょろきょろと今まで自分に縁のなかった所に戸惑うも、手前左のベッドにあぐらをかいている、前開きのマタニティワンピースを着た妻の姿を認め、少しほっとするのであった。
入院だってさ、と腹回りにベルトのような物を巻いた妻が、しきりにその大きくなった腹をさすりながら言う。その顔は時折来る痛みにしかめられることはあるものの、得も言われぬ笑みが常に浮かんでいるのであった。この頃特に見かける、母性が強烈ににじみ出ているその表情に、久我は一種の神々しさすら感じてしまうのであった。
ここに記入して、家からお金持って来て、あと何か飲み物とかゼリーとか、と指示を受けつつ、一旦家へ戻る。
実家にも連絡しとくか、と帰りすがら「佳苗入院、今日?」と、一文字増えるごとに料金上がるのか? くらいの簡素なメールを打つと、途中のコンビニで色々買いこむのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます