第5-6話 里長ウルカと襲撃前夜

 ここで、リアナの持つ〈呼ばい〉が、一度消えてしまう。


 それは作中では「王の崩御」を意味していて、つまりこの時点で、オンブリアの王権制度上、リアナは次の王になっている。(同時に、デイミオンがその次の王位継承者になってもいる)


 〈呼ばい〉は糸が引くように感じられるのだが、それを書くだけだと画面として地味なので、少し緊迫感を与えたいと思って、「管理官が里長を訪ねているところにリアナが居合わせる」ということにした。

 この翌朝が里の襲撃なので、ここでは「なにかよくわからないが不穏な空気」のようなものが伝わっていればいいなと思う。


 ずいぶん後になってわかることだが、里長のウルカはリアナの『誓願の竜騎手』だった。自分の生命はもちろん、ほかのすべてを彼女のために犠牲にするというおそろしい契約だ。もちろん、「ぜひやりたいです」と志願したわけではなく、当時のエリサ王に脅され、なかば里人全員の命を人質に取られた形で、無理やり誓わされたのであるらしい。


【レビューお礼】② スイカズラの竜騎手

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885999373/episodes/1177354054887095314


 本編では終始、抑制のきいた理性的な人物として書いたが、リアナに対して複雑な感情があっただろうなぁと読み返すと思う。


 そうそう、あと竜族の男性の正装である長衣ルクヴァは、ここが初出だった。(里長たちはルクヴァを着ていない。そのあたり、ライダーであることを捨てた心情が関係していそう)

 管理官がお役人っぽい長衣ルクヴァを着ている。でもお役人をかっこよく書く意図はないので、ここではまだ名前だけ。

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