【不定期更新】メイキングとコメンタリー:リアナ

西フロイデ

最初の構想~初稿

シリーズ全体① 対立する恋人プロット

 シリーズ全体を、現在は「リアナ三部作」と呼んでいます。竜と剣と魔法の世界で起こる、恋と陰謀の物語です。


 第一部のあとがきに書きましたが、もともとのアイデアのひとつは、「政治的に対立している二人が、実はひそかに恋人同士」というものでした。

https://kakuyomu.jp/users/freud_nishi/news/1177354054885983044

 

「やむなく引き裂かれるロミジュリ的なものではなく、お互いに譲れない目的があって対立していたらいいなぁ。恋愛というか、一時休戦の雰囲気がただよう逢瀬とか」

 と書いていますが(読み返すと作者の頭悪そう感がすごい)、そこにもう一人の男性を入れて三角関係要素を足したのが、シリーズ全体の構想になります。


 最初のプロットでは、中盤あたりでオンブリアに内乱が起こり、クーデタを起こしたデイミオンが王となってリアナは王位を追われることになっていました。想い人に裏切られる→力をつけて反逆、というのが、一筋縄でいかない恋愛で面白いなと思ったのです。


【二人が王・王位を追われた者として対立するなか、一時休戦について話し合うために再会する。そこで、王デイミオンが敵対者のはずのリアナと「二人だけで話し合う」としてお互いの協力者たちを締め出す。そこでほんのひと時だけ、激しく愛しあい、また戦いの日常に戻っていく。】


 このイメージが気に入ってプロットを書きはじめたのですが、結局、大部分は捨てることになりました。うまくいかなかった理由はおそらく、

 ・二人の指導者が敵対するような内乱を書くのは死ぬほど大変

 ・主役カップルが会えない時間が長すぎて恋愛ものになりそうにない

 あたりだろうと思います。


 読了した方はご存知のように、デイミオンは第一部ではリアナと王位を争っていますが、その後はシリーズを通してリアナの協力者であり、敵対する場面はほとんどありません。

 この「一時休戦の中の逢瀬」は恋愛プロットの中心になるはずだったのですが、そういう理由で、書かれることはありませんでした。ただ、第二部後半の再会の場面(「睦ぶ」)には、「敵対しているように周囲に見せかけておいての逢瀬」というアイデアが残っています。


(第19話 睦ぶ ①)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886041624/episodes/1177354054886210913


 ほかにも、リアナが不在の間に王位に就くとか、「黒の王」と「白の王」の対比など、初期のアイデアを流用した部分があります。


 こういう風に、「この場面が書きたいから、お話を作る!」と意気込んで書きはじめたのに肝心の「この場面」を削る、ボツにする、というのは、私の創作ではしょっちゅう起こります。


 プロットがなかなか作れないときは、思い入れのあるシーンを思いきって削ったほうがうまく行く、ということは(今回だけでなく)よくあります。


 

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