華の爆弾魔

仲の良い高校生の3人組、陸也、海治、空斗は退屈していた。最近何をしていてもすぐに飽きがくる。以前のように笑い合って楽しめることが無くなってきたのだった。

刺激が欲しい。3人がそう思っていたとき、クラスメイトの華子から提案を受ける。この町中に爆弾を仕掛ける。手伝ってくれ、と。


華子は植物を急成長させる力の持ち主だった。陸也海治空斗はそれぞれの好きな場所に種を持ち込み華子に“爆発”させるのだった。

出現する巨大な花、混乱する周囲、話題になるが自分達だとはわからない。

刺激的な遊びに3人はのめり込む。


爆発させる場所は三者三様であった。

陸也は3人で遊んだ場所や出会った学校を狙った。大学受験を考えて勉強し出した陸也は3人と遊ぶことに嫌気がさしていた。


海治はとある公園を執拗に攻撃した。見つからないように爆弾を仕掛けることが楽しいのだと言う。本当は実は小さい頃に飼っていた猫がそこで眠っているからだった。


空斗はあえて見つかりやすいところに種を持ち込んだ。郵便物の中や、動物に着けるなどして花を爆弾のように扱った。それは自分の存在を世に認めさせたいという欲求からくるものだった。


それぞれの抱えていた心の問題部分が浮き出され、華子に指摘される。それにより、3人の仲に亀裂が生じる。いつも遊んでいたにも関わらず、お互いを理解してなかった。知らない部分が多すぎた。そして、知ってしまったことで関係が崩れ出す。


友達の関係。華子との関係。社会との関係。

そして自分と向き合い出した三人はそれぞれの道の歩みかたを考え出す。


華子が居なくなるらしい。本人がそう言い出す。

陸也海治空斗は華子に対して、それぞれの想いをぶちまける。

華子は聞き、受け止め、あるいは殴り飛ばす。


それなりに刺激的で、それなりに謳歌した、3人の青春時代。




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