コレクト・リング

 青年コクウは山中で私塾を開いていた。生まれや年の違う男女数人と暮らしながら、規則正しい自給自足の生活をしている。皆、何かしらの事情を抱えてそこにいるが、塾生同士は助けあっている。コクウは教師として、保護者として、時に親代わりとなった。コクウにとってそれは慌ただしくも満たされた生活だった。


 ある日、建物の周りを騎士団が囲み逃げ遅れた者を人質にとり交渉する。コクウを王都に連れていく。


 コクウは王家に列なるものだったが、すべてを剥奪される代わりに自由を手に入れる。そのコクウを連れ戻したのは実兄である今の国王だった。国王はコクウの力「なぜか妙な人を引寄せる才」に目を着けて人材を集めようとする。塾生の安全とを引き換えに国内外を旅することに。才ある者、力を持つ者など、国王いわく妙な者を見つけて国に登用したり自国に移動させたりすればよいらしい。


 旅には渉外や資金を担当するセイメイと、護衛と逃亡阻止を担当するリッカが一緒だった。城を出て隣国へ向かう道中で、茶店で休憩。コクウは声が聞こえるといって裏手の林中に入っていく。そこにいたのは首まで埋まった男だった。男は隣国の大商人だったが、金を稼ぐだけの毎日に疑問を持ち、林中で埋まっていたのだった。


 男の希望で、隣国の男の家に行くが偽物扱いされる。ただ1人男の年の離れた妹は本物だと分かる。男の家族、親も妻も子ですら男の財産を求めて、男を亡き者としようとする。妹がそれを知らせる。


 妹が監禁され、自らも命を狙われることになった男はコクウたちに助けを乞う。助けてくれるのなら、商人としてコクウの国に利益をもたらし続けようと。


 宿屋で相談していると塾生の1人がやってくる。国王から連絡係としてお仕事頼まれた。追跡の才を持つ少年で、困っていないかと話に入ってくる。セイメイが説明。コクウがあの子を連れてきて欲しいと指示を出す。


 次の日の夜、商人の妹が監禁されている家屋が燃える。商人の家から人が出てくる。商人の家も燃える。あっという間に燃え上がる。朝になって人以外のすべてが燃え尽きる。妹もいないが、監禁されている家屋と共に燃えたとされる。


 宿屋には商人の男と妹、そして侵入の才を持つ塾生の男。コクウ達に礼を言い、名前を変えてコクウの国で再出発することを誓う。塾生の男に連れられ、二人は出発する。

 コクウ達はしばらくこの国を周ることにする。次はどんな人と出会えるのだろう。


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