第2話 小学校最後の水泳大会
ここは、東の里小学校の屋外プール。ここに、全校生徒が集まる。
いよいよ、水希が待ちに待っていた、水泳大会が開幕する。
水泳大会の最初に行われるのは、校長先生の話だ。「校長の話」と聞いて、全国の小学生はあまりいい顔をしないだろう。しかし、東の里小学校はちがう。東の里小学校の校長先生の話は、異様に短い。およそ一分だ。理由は長くなるので後にしよう。水希は今日も校長先生の話は何秒かかるか数えることにした。
いーち、にーい、さーん………
………………52、53、54、
あちゃー、予想当たらず………。
水希な予想は54秒だった。
55、56、57、58、59、60!
ちょうど終わった。さすが校長先生。水希は感心した。
校長の話の後は、着替えだ。更衣室というやさしいものは、ない。低学年に占領されている。小さいのに権力がある。いや、小さいから権力がある。と、水希は考えた。いつもは普通の小学校のように女子は女子更衣室、男子はかわいそうなことに各クラスの教室で着替える。(つまり、男子更衣室というものは、存在しない。)しかし、今日は水泳大会なのでそうはいかない。だから、男子は一組、女子は二組の教室で着替える。男子どもは、領地が二分の一になる〜〜〜‼︎‼︎って騒いでいた。教室が領地であるのならば、領海は重なりまくるのだろう。
と話が逸れてきたので戻すと、水希は女子なので、一組で着替える。女子たちは、教室で、 いつものようにタオルをかぶってさっさと着替える。水希は面倒だからタオルかぶんなくていいのにと思ってしまう。みんな壁を見て着替えれば済むことだと思ってしまう。水希はさっそく女子たちと同じように青色のタオルを頭からすっぽりとかぶった。爽やかな水色っぽい青。見ているだけで、涼しくなれる。水希は暑がりなので、この色を気に入っている。教室の端っこは、女子たちの溜まり場なので暑い。だから水希は教室の真ん中で着替える。同じように考えたのか、もう一人水希の横で着替え始めた。横山 風花だ。風花は幼稚園の頃
からの親友だ。
「みずは、何位をねらうの?」
「全校一位。ふーかは?」
「ふーかじゃなくて、フーカだよ。」「どうでもいいけど、ふーかは?」
違いがわからないので、同じようにいった。
「もちろん、い☆ち☆い」
と☆をつけて笑いかけてきた。
………………うつくしい。
風花はトンデモナイほど美人だ。つい見とれてしまう。ホモとか変な誤解をされないように、慌てて顔を取り繕う。風花が何か言いかけようとした。
「女子〜〜!早く着替えろおおぉ………!」
ピッピっと笛の音と共に、担任の声が聞こえる。ゴーグルをつかみながら、
「絶対、負けないから。」
「絶対、負けないから。」
二人の声が揃った。
青い海と青い空 さかい るか @sachan
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