第31話  食堂車と青い星

「透くん、この列車は地球の周りを、一周して帰ってきます。

所要時間は、日本時間で明日の6時までです」

早いのか、遅いのか・・・


「では、まずは空の旅をお楽しみに下さい」

「わかりました」

ファエトンは、出て行った。


「あっ、お食事の用意が出来ましたら、食堂車へどうぞ」

「乗務員さん、この列車の編成は?」

「クハ、モハ、サシ、クモハとなっております」

鉄の方だけ、わかってください。


今、僕は乗っているのは、おそらくモハ。

グリーン車なないようだ。


車窓から外を見る。

夜景が奇麗だ。

全部で、いくつあるのかな・・・


でも、時差があるから、楽しめないんだよな・・・

そうこうしているうちに、大気圏の外へ出た。


細かい事は・・・気にしないでおこう。

何も出来ない。


「透くん、準備が整いました。食堂車へどうぞ」

食堂車へ案内される。


お客様ではなく、透くんなんだな・・・

まっ、そのほうがいいけど・・・


席に着くと、料理が運ばれて来た。

「この料理は?」

「私の手作りです。お楽しみください」


ファエトンの料理は、食べているが・・・


「あれ、いつもよりも、美味しい。変わらないはずなのに・・」

「どう、透くん」

「ファエトン?」

「お父さんの言ってた意味が、わかった?」

「何が?」

「列車の中で食べた、料理は美味しいということ」


そうだ、僕はそれを、願ってた。

父さんの言ってた、「食堂車で食べる料理は美味かった」と・・・


その夢が叶った。

感謝しないとな・・・


当たり前だが、寝台車はついていない。

こういう事なら、ブルートレインか583系を指定すればよかったな・・・


「透くん、寝てるのはもったいないから、この車両でいいんだよ」

もっともだ・・・


宇宙からは、星空は見えないが・・・

地球は青い。


それを認識できて、満足だ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る