第29話 願いごと
8月
夏休みも中盤に入る。
といっても、殆どは受験生で勉強をしているか、
部活動をしているものは、全国を目指し汗を流している。
野球部は、早々に敗退したようだが、さばさばしている。
僕はというと・・・
引きこもっている。
勉強するでもなく、遊ぶでもない。
ただ、ぼーっと自堕落に過ごしている。
ファエトンからの手紙を見る。
【見守ってるよ】
これは、来年の今頃は、宇宙からを意味するのだろう。
ベットわきの出窓に飾ってある、列車の模型を手にする。
485系
国鉄時代は、全国いたるところを走っていたが、今は殆ど走っていない。
時代の流れか・・・
「好きなの?その電車」
「ファエトン?」
ふいに声をかけられた。
「まあな」
「どうして・・・」
「さあな・・・僕が鉄道に興味を持った車両だからな・・・」
「どうして、好きになったの?」
僕は、リアルタイムではよく知らない。
ただ、父さんから聞かされた。
かつて、この車両には食堂車が連結されていて、そこでの食事が美味しかったと・・・
他の形式にも、昔はあったようだが、さすがの父さんも、まだ生まれる前のようだ。
じいちゃんたちなら、知ってるかな・・・
「食べたい?」
「何が?」
「その車両での、食事・・・」
「ああ、出来る事ならな・・・」
しばらくファエトンは考えて・・・
「わかった。その願い叶えてあげる」
「えっ、でも・・・」
「これは、私の個人的なサービス、気にしないで・・・」
「そうじゃなくて・・・模型が・・・」
「それなら、大丈夫。お父さんに借りるから」
借りるって・・・
そういや、父さんは模型鉄だったな・・・
忘れてた・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます