第26話 七夕への願いごと

7月になった。

世間では、七夕と言われる時期になる。


7月7日、ポニーテールの日と、20年ほど前に制定された。

織姫がポニーテールだった事から、この日になったらしいが、

あの時代に、ポニーテールという言葉があったのかは置いておく。


近所のスーパーでも、七夕の笹が用意され、短冊も置かれている。

願い事を書けということか・・・


見てみると、子供らしい願いでいっぱいだ。

某戦闘ヒロインになりたいとか、某宇宙ヒーローになりたいとか・・・

微笑ましくもあるが、やがて、それは無理と悟るのを、そう遠くないうちに理解する。


「ねえ、透くんは、何を書くの?」

ファエトンと2人で来た。

このスーパーには買いだしに来たのだが、ファエトンは興味がとてもあるようだ。


「心願成就」

「何それ?」

「これひとつで、全て賄える」

「大雑把だね」

ファエトンは笑う。


「そういうファエトンは、何て書くの?」

「私?私は・・・」

さらさらと書く・・・


「これだよ」

見せてくれたが・・・いいのか?


【家族みんなが幸せになれますように。-江美利愛美ー】


「愛美?」

「うん。ファエトンじゃなくて、愛美」

彼女の言いたいことはわかった。


ファエトンの中ではもう、家族になっていたのだ。

嬉しくもあるが、彼女がここにいられる時間は後半年足らず・・・


その事を思うと、切なくなった・・・


「じゃあ、お花畑に行ってくるね」

「うん」

そういうと、ファエトンはその場を離れた。


だが実は、僕に気を使わせてくれたのを、すぐに悟った。

見られたくない願い事があるのを、わかっていてくれたようだ。


僕は、その願い事を書いて、つるした。


そこへ、ファエトンが戻ってきた。


「透くん、お待たせ。行こうか」

「うん」

そう言ってその場を、後にした。

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