第23話 今日よりも、明日を・・・

雨が降ると、外で体育はお休み。

でも、運動部となると、関係なく外で練習をする。

特に野球部は、甲子園の予選が近いとあって、熱がこもっている。


でも、正直な話、弱小・・・

というか、この地区は強豪が揃っている。

奇跡が起きない限り、難しい・・・


実力者は有力高校に進学するか、野球留学をする。


でも、甲子園に行けなくても、将来はいい思い出にしてしまう・・・

あっさりと・・・


「透くん」

愛美ちゃんの声がした。

「野球部のみんな、がんばってるね」

「ああ、甲子園が近いからね」

「なんで、がんばるんだろう」

「後悔だけはしたくないからね・・・やるだけやれば・・・」

そのあとは、言葉が出ない。


「透くんは、やらないの?」

「僕にスポーツの才能はない。恥かくだけだ」

「・・・そうなんだ・・・」

愛美ちゃんは、何も言わなかった。


呆れているようにも、思えた。

でも、愛美ちゃん、人はそれぞれなんだ・・・


ちなみに、他のスポーツも似たようなものだ。

ただ、なぎなたや合気道など、女性部員はやたらと強い。


愛美ちゃん・・・ファエトンと買い物をして、帰路に着く。


僕は、ベットに横たわって、考えた・・・

将来・・・

トラベルライターになりたいと、思っていたが・・・


でも、それでいいのか・・・


スポーツの才はない。それはわかってる。

でも、僕に何がある?


世間は冷たい。非情なまでに・・・

特に、僕のようなタイプには・・・


「透くん、いい?」

「ああ」

ファエトンが部屋に入ってくる。


「私、思ったんだけど・・・」

「何?」

「透くんは、自分の事好き?」

「どうしたんだ?急に・・・」

「答えて」

ファエトンの眼は真剣だ。

冷やかしの眼ではない。


即答はできない。

でも、待たせられない。


しかし、ウソはつきたくない。

僕は、正直に答えた。


「今日の自分は好きでない。でも、明日の自分は好きでいたい」

あやふやだが、他になかった。


「そっか・・・」

ファエトンは、何かを得た気がした。


「ありがとう。私と同じだね」


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