第16話  慣れ

「慣れ」というのは、時に恐ろしい。

元々、人当たりのいい、ファエトンだが、

すっかり高校生活を、満喫している。


まだ、そんなに日数は経っていないが、もう随分前からいる気がする。


元々、宇宙人の彼女だけあって、科学や数学などの理数系が得意。

逆に文系はいまいち。


ならどうして、理数系に編入しなかったのかと訊けば、

「透くんと、一緒がいい」

そうですか・・・


学校では、言われた通り愛美ちゃんと呼んでいるが、照れくさい。


だが、予想通り、仲を取り持ってくれという男子が多いわけで・・・

「あの子は、やめておけ」

「どうして?お前とは、いとこだろ?あっ、ひょっとしてお前・・・」

こちらも予想通り、勘違いをしてくる。


どうして、こういう連中が多いんだ・・・


「あの子は、可愛いのは俺も認める。でも、とてもわがままだ」

「少しくらいなら可愛いぞ」

「少しじゃない」

「えっ」

「完全な駄々っ子だ・・・」

ファエトンに悪い虫がつかないように、わざと悪く言う。


「ファエトン、いや愛美ちゃん、君のためだ。僕が守るから」

少しナイトを、気取ってみる。


父さんが言ってた。

「学生の頃は、同姓の友達を大切にしろ」と・・・

母さんもファエトンに同じ事を言っているようで、今は学校内では女の子といる事が多い。


「愛美ちゃん、部活はしないの?」

「うん、しないよ」

「どうして?」

「今からじゃ遅いし・・・それに、家の事しないと・・・」

言葉だけきけば、それを嫌がっているようだが、

本人は損の事を喜んでいる。


「愛美ちゃん」

「何?」

「今日も、買い物に行きますか」

「うん」


すっかり、日常と化した。

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