第14話 突然なんだもん

新学期。

クラス替えをして、3分の2は新しい顔ぶれ。


クラス名は、3年1組。


担任は、変わらん。

おっさんの歴史教師。

「今年は受験生だ。気を引き締めて過ごすように」

当たり前の事を言う。


今日は、ホームルームだけ・・・

そう思っていたのだが・・・


「では、転校生を紹介する。みんな仲良くするように」

「ハーイ」

元気よく返事をする生徒たち。

小学生か、僕たちは・・・


「江美利 愛美(えみり えみ)さん、我がクラスへようこそ!」

入ってくる子を見て驚いた。


「ファエトン?」

そう、ファエトンがそこにいた。

笑顔で小さく手を振る。


「気付いていると思うが、江美利と同姓だ。いとこらしい。」

男子から、歓声があがる。


「江美利、面倒見るように」

「ヘイヘイ」

「席は、隣でいいな?」

「わかりました」


ファエトンが、隣の席に着く。

「透くん、驚いた?」

「そりゃ驚くよ、一体どうして」

「お父さんと、お母さんが、通わせてくれたんだ」

「でも、名前が・・・」

「ファエトンじゃ、まずいでしょ?愛美はお父さんが付けてくれたんだ」

「でも、どうしてえみ?」

「双子座の、ジェミニからだって。字は愛して美しくだって」

作家なんだから、もっとこれよ親父・・・


「でも、よく編入できたな」

「コネだって」

ご都合主義だな。


「でも、どうして内緒に?」

「驚かそうと思って、だめ?」

「いや、いいけど・・・」

「ありがとう。だから、透くん、大好き」


教師から、横やりが入る。

「ふたりとも、内輪話は、後でするように」


ファエトンが小声で話しかけてくる。

(学校の事、いろいろ教えてね)


ファエトンだが、心配はなかった。

すぐに、友達がたくさんできた。


男女問わず・・・

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