第11話 予行練習

3月になった。


「透くん」

「何?」

「エヘヘ。楽しみにしてるね」


ホワイトデーだな・・・

いつだれが金儲けのために作ったかわからんが、お返しの催促はしないでほしい。

ねちねちねちねち、嫌味を言われてたまらない。


まあ、もてない男のひがみと言えば、それまでだが・・・


そういえば、ホワイトデーのお返しをするのは初めてだ。

母さんには、(バレンタインのチョコは)いらないと言ってるし、

瑠奈はまだ、そんな歳ではない。


さてと、何を買おうか・・・

「透くん」

「何?」

「手作りでお願い」

「料理はできん」

「大切なのは気持ちだから」

わかっているのか、いないのか・・・


仕方ない、作るか・・・

まあ男子が料理をしても、悪い事ではあるまい。


マシュマロとかが定番のようだが、とても出来ない。


「一応、本屋をまわるか」

本屋でよさそうなのを見つけた。


『クッキーの作り方』

これでいいだろう。


家で見る。

難しい。

でも、ファエトンは「気持ちだから」と、言ってくれた。

その、言葉に甘えよう。


まあ、ホワイトデーには間がある。

継続は力なりという・・・

もっとも、力がつくまでの、時間はないが・・・


まずは、練習と・・・

どうにか出来た。

食べてみる。


不味い。


でも、食べ物を粗末にしては、行けない。

仕方ないので、水で流し込んだ。


また作る。

不味い。

水で流し込む。


何度か試して行くうちに、少しずつ美味しくなる。

形は、あきらめた。


さてと、どうなりますことやら・・・

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