第10話 ファエトンの夢

ファエトンは、窓の外を眺める事が多くなった。

僕をはじめ、家族全員が心配していた。


「ホームシックにでも、なったのか・・・」

見かけはまだ、女子高生くらいの女の子。

なんだかんだで、親が恋しい時もあるのだろう。


でも、ファエトンに限ってそれはないと思っていた。

そしたら・・・その通りだった・・・


「ねえ、透くん」

「どうしたの?」

「降らないね」

「何が?」

「雪」



しばらくの、沈黙が流れた。



「もしかして、それを待ってたの」

「うん」

ファエトンは、子供のように、ウキウキしている。


「あのう、ファエトンさん」

「何?」

「期待を裏切るようなんだけど・・・」

「うん」

「この地方は、温暖なので雪は降らない」



また、沈黙が流れる。



「雪・・・降らないの?」

「うん」

「じゃあ、雪の降る地方にお引っ越し・・・」

「しません」

「楽しみにしてたのに・・・」

ファエトンは、落ち込んだ。

そんなにショックか?


「もうすぐ3月だ。さすがに期待できなよ」

「がっかり」

落ち込まなくても・・・


「もしかしたら、今年のクリスマスには、降るかもしれない」

「ほんと?」

急に元気になる。


「可能性はあるよ」

適当にごまかしておいた。


まあ、12月までには、何とかなるだろう。

天気はどうしようもないが、頼むよ、神様。

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