第7話 お買いもの

「瑠奈も、行く」

妹の瑠奈が、駆け寄ってきた。


「お兄ちゃんは男だもん。女の子の事は女の子が一番。

だから瑠奈も行く」

言い出したら聞かない子だ。

まあ、子供はそうだと思うが・・・


「瑠奈ちゃん、今日は・・・ね」

ファエトンは、シーのポーズを取る。

「わかった。お姉ちゃん、お兄ちゃんをよろしく」

わかったんかい、妹よ。


こうして、ファエトンと出かける事になった。

傍から見ればデートになるかもしれないが、嬉しくはあるがときめかないのは、

もう、家族に溶け込んでいるせいか・・・


「透くん、もうじきバレンタインなんだって?」

「ああ」

(俺には関係ないが・・・)


「女の子が、男の子に、チョコレートをあげるんでしょ?」

「この国だけね」

「違うんだ・・・国によって」

「うん」

「ややこしいね」


そういや、ファエトンが来てから、まだ2カ月も経っていないんだな。

もっと、長くいる気がする。


しばらくすると、アパレルショップが見えた。

この町では、一番の店だ。


おしゃれではあるが、その分値が張る。


「ねえ、透くん、見てくれる?」

「何を?」

「私の服。透くんに見てもらいたい」

「僕は、センスないよ。お店の人にみてもらって」

ファエトンは、しばらく考えて・・・


「じゃあ、お店の人にいくつか見てもらうから、その中から透くんが選んで」

「OK」


ファエトンは、そう言うといくつか選んでもらったようだ。


「じゃあ、試着するね」

「ああ」

ファエトンは、一着ずつ着ていく。


「この服は?」

「かわいいな」

「この服は?」

「似合ってるな」

「この服は?」

「バッチリだな」


ファエトンは、怒りだした。

「もう、あいまいなんだから。」

「なら、これがいいと言えば、それにするの?」

「うん」

「本当に?」

「女に2言は、ない」


それならと、僕は完全に自分の好みで、服を選んだ。


ワンピースは、一つも選ばなかった。

スカートはミニで統一、服はまだ寒いので、カーディガンを中心にした。


4着程は、買ったと思う。


「ありがとう。透くん」

「いいよ、次行こう」

「次?」


「おしゃれな人は、服より靴にお金をかけるんだよ」

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