第6話 この星の女の子

昔、両親に「どうして作家になったか」と、訪ねた事があった。

ふたりとも、「気がついたらなっていた」と答えた。


クリエイティブな世界は、そういうものかもしれない・・・

馴れ初めは、出版社のパーティーだそうだが・・・


取材で出掛ける事はあっても、基本的には自宅が仕事場。

でも、あまり会う事はない。

冗談で、「家政婦でも雇おうか」と話していたが、ファエトンが来た事で実現した。


両親は「娘」といい、ファエトンは「メイド」という。

ちなみに瑠奈は、「お姉ちゃん」と呼んで、なついているが・・・


双子座流星群と共に来た、ファエトン。

12月中旬がピーク。


しかし、年を越してしまったために、クリスマスには1年近くある。


「透くん、ちょっと来て」

ファエトンに呼ばれて行ってみると、そこはファエトンの部屋。

空き部屋となっていたが、両親が与えたようだ。


中は、必要最低限の物しかなかった。


「これでいいの?」

「うん、メイドとして働かせてもらっているとはいえ、居候なんだから、

贅沢は言えないよ」

メイドにこだわるな。


「で、何?」

「うん、お父さんとお母さんに言われたんだけど」

(そう呼ぶように指示されたのか、ファエトンから呼ぶようになったのか、

それはわからないが、まあ上手くやっているようだ・・・)


「買い物に付き合って」

「買い物?」

「うん、お母さんがね。『女の子なんだから、おしゃれしなさい』って・・・」

「今の服は?毎日変えているようだけど・・・」

「でも、この星の女の子らしくないから・・・」

確かにいびつではないが、女の子らしくはないかもしれない。


僕は気にしないが・・・


「髪は?」

「透くんは、ロングヘアーが好みでしょ?」

「うん」

「違うの?」

「いや好みだけど、ポニーテールがいいかな」

我がままを言った。


「わかったわ。ポニーにしてみる」

ファエトンは、長い髪をポニーテールにまとめた。


とても、可愛い。


「さあ、出かけましょう」

「買い物?」

「君好みの服(など)を買ってあげる」


こうして出かける事となった。


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