第5話 将来

クリスマスまで、まだ1年近くあるが・・・


願い事はなんだろう・・・

この子はやがて、自分の星に帰る。

なので、「恋人になってくれ」は、無理。


「両親のような作家になりたい」

自力で叶えないと意味がない。


お金か?

だめだ・・・余計に不幸になる。


まあ、ゆっくり考えよう。

まだ時間はある。


「透くん、いい」

「どうぞ」

ファエトンが、入ってくる。


いかにもという、格好をしている。

「完全に、家政婦だね」

「メイドです」

この辺の、こだわりはうるさい。


「で、どうしたの?」

「透くんは、将来何になりたいの?」

「将来?」

「やはり、ご両親のような作家さん?」

「さあな・・・大変なのを見ているからな」

「そっか・・・」

「浮き沈みが激しい世界だからね」

僕は、天井を見つめる・・・


「夢か・・・」

最近は、考えたことなかったな・・・


「プロスポーツ選手とかは?」

「僕は、どんなの努力しても、中学生レベルだよ」

スポーツ選手は、幼稚園の頃にあきらめた。


「好きな物ないの?」

「さあな・・・」

ファエトンは、僕の部屋を見て回る。


「何もないよ、この部屋」

ファエトンは、見て回るが、あるところで止まった。

それは、電車の模型だった。


「これ、何?」

「電車の模型だよ」

「電車?」

さすがに、そこまでは知らなかったようだ。


それほどコアではないが、出来る限り説明した。


「透くん、電車好きなの?」

「まあな。子供の頃はよく、撮影に行ってたよ」

「電車関係の仕事につきたい?」

僕は、迷った末に答えた。


「まあね。但し、運転士でも車掌でもない」

「じゃあ、何?」

「レポーターかな・・・全国の鉄道を取材してまわる記者」

「そうなんだ。素敵な夢だね」

女子の中では、カーストが低いけどね。


「ありがとう。透くん。じゃあ、頼まれている事があるから・・・」

「うん」


ファエトンとの会話で、自分の将来について、考えてみた。


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