第3話 お出かけ

両親の願いは、「娘が欲しい」

妹の瑠奈の願いは、「お姉ちゃんが欲しい」


ファエトンさんが来た事で、その願いは叶った。


ファエトンさんは表向きは、メイドどして来てもらった事になっている。

家政婦ではなく、メイドだ。

同じような物だと思うが、「全然違う」と、ファエトンさんは怒っていた。

彼女の中では、家政婦=おばさんという認識があるようだ。


まあ、それは置いておいて、かなり女子力が高いファエトンさん。

家族とも、打ち溶けているので、心配はないだろう。


「透くん、いい」

ファエトンさんは、声をかけてきた。

「どうぞ」

僕は返事をする。


僕は寝ている、ベットのところに、ファエトンさんは腰を下ろした。

「いい人たちだね。おじさんもおばさんも、瑠奈ちゃんも」

「外面がいいんだよ」

「家族の事、悪く言うもんじゃないよ」

「家族だから、言えるんだよ」

「そう?」

「身内の事は、謙遜するもんなんだ」

「そっか」

ファエトンさんは、何か考えているようだが、触れないほうがいいだろう。


「ねえ、透くん」

「何?」

「散歩行かない?」

「面倒くさい」

「いいから行くの」

ファエトンさんは、僕の手を掴んで引きずって行く。

細腕なのに、腕力はあるらしい。


「わかった、行きます」

「よろしい」

ファエトンさんは、手を離した。

まだ、ひりひりする。


「それと、さんづけはいいよ。ファエトンと呼んで」

「・・・わかったよ。フェアトン」

「うん」

にっこりと、微笑む。


家族に声をかけて、僕とファエトンは、散歩に出かけた。


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