第2話 家族の願いごと
僕は、家族を見回した。
両親、妹・・・誰の願いなんだ?
「あなたですよ。」
「・・・僕?」
「ええ。あなたです、江美利 透(えみり とおる)くん」
「どうして、僕の名前を?」
「空から、見てました」
ストーカーですか?
「それを。言うなら、あなた方もストーカーだと」
意味が違いますし・・・
「ちなみに、お父さんが和里さんで、お母さんが亜耶(あな)で、妹さんが瑠奈(ルナ)。
全員、双子座生まれですね」
よく知ってるね。
「でも、どうして、僕のところに?」
「抽選です」
「抽選?」
「はい」
アバウトな。
「でも、これも何かの縁です。よろしくお願いします。透くん、皆さん」
ファエトンさんは、お辞儀をする。
「でも、どうしてわざわざ落ちてきたの?」
「だって、お決まりなんでしょ?この星では・・・」
空から人が落ちてきて、その人を介抱して、仲良くなる。
確かにあるが、もう使い古されている。
でも、敢えて口にはしなかった。
この人がいる時点で、既に現実離れしている。
ちなみに、童話に出てきそうな、妖精の姿をしている。
肌の色は、白に近く、髪はショート。
「透くん、ロングヘアーの女の子が好き」
「はい」
「即答だね。わかった。あなた好みの女の子になるわ」
そう言うと、また光りだした。
すると、黒髪のロングヘアーで、今時の若い女の子のような姿になった。
「これでいい?」
「うん、でも器用ですね」
「特技だからね」
いつの間にか、タメ口になっている。
「でも、どこで生活するんですか?」
「ここで暮らすよ」
さすがにそれは迷惑と思ったが、両親と妹は歓迎して、すぐに歓迎会を開いた。
和気あいあいとしている。
早速、打ちとけたようだ。
「で、ファエトンさん、どんな願いも叶えてくれるの?」
「私に出来る事なら・・・」
僕も、タメ口で話そう。
「透くんの、ご両親と妹さんの願いは、もう叶ったみたいだけどね」
「えっ?」
「ううん、何でも・・・」
予想はついたが、口にはしなかった。
「透くんの願いは、ゆっくり考えてね」
「えっ」
「私は、しならくは、ここにいたいから」
悪く言えば、厚かましい子なんだな。
まっ、お望み通り、ゆっくりと考えよう。
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