福本翔太郎エッセイ集

伝播OFF

僕の住んでいた街はこの地域では大きい方だが

正直田舎くさいところが多い。

しかし、生まれも育ちも畑が見えていた僕としては

かなり住みやすさも懐かしさも残っていて暖かい場所だ。

そこに僕の大好きなデパートがある

１０時開店１９時閉店の田舎らしいデパートだ。

入ってる店もそれほど多くはないが

必要最低限の品物はそろっている。

ここの地下食品売場が好きだ。

そこの小さなコーヒー店がお気に入りの場所だが、

コーヒーと小さなケーキしか置いていない。

コーヒー店なので４０種類の豆から選ぶことが出来飽きることがない。

しかし、ケーキだけじゃ飽きてしまうので、

小さなお菓子をほかの店で買ってくることを最近覚え、

今日はショコラタルトを買っておいた。

甘さが口に広がったところで

苦みの利いたコーヒーを啜る。

疲れが吹っ飛んでいく・・・

これだけでなく僕が最大に気に入っている点は

ここの地下が圏外というところだ。

最近のデパートでは珍しい。

全く電波が入らない。

地下に入って高校生のようなカップルが「ケータイ通じないー」と愚痴を言っていたが

横に大事な人が居るのにケータイでなにをすると言うのだ。

僕は一人でここに行き誰からもじゃまされない空間で

コーヒーとお菓子を楽しむ。

疲れた日曜日に最適だ。

携帯などという媒体に頼っている面もあるが

たまにはこれらと切り離されたいのが

現代人の思考とも言えるのではないか。と考える。

たまには全て投げ出すのもよろしいかも知れない。

福本翔太郎