第6話 【霧乃宮高校文芸部】皐月様

 四作品を紹介した後、少し間が空いてしまいました。

 幾つかご紹介したい作品はあったのですが、忙しさに紛れていました。

 本当に良い作品だけを、じっくり腰を据えて紹介していきたいのでその辺、ご了承ください。


 さて、五作目に紹介するのは、皐月さんの【霧乃宮高校文芸部】です。

 タイトルからして、こうまっとうな作品の香りがしませんか。

 すでに数多の作品が作られてきた、華やかな運動部系ではなく、文科系の、しかも「文芸部」という、どうみても地味な舞台を選んでいることからも、この作者、ただ者ではありません。


 物語は、高校に入学した一人の少女が自分に合う部活動を探すところから始まります。

 この学校の文芸部は、彼女を入れてわずか四名。

 一年生の有村瑞希(主人公)、北条亜子。

 二年生の鈴木早苗、結城恭平。

 そして、図書準備室というこれ以上ないだろう地味な場所で、四人の会話が進んでいきます。

 ミステリー物なら、密室殺人とか起こりそう。


 ところが、これが面白い! 思わず惹きつけられる!

 それは、一人一人の個性が際立っているからでしょう。

 しかも、作者は、ただ彼らを描写するだけでなく、今まで読んできた本を彼らが紹介するセリフを通して、より深くその内面に切りこんでいく。

 好きな本を紹介するときって、みんな一所懸命になりますよね。だからこそ、日常生活でかぶっている仮面がはがれ、その人の地が出る。

 

 四人それぞれの得意分野が違うのも、物語を豊かなものにしています。

 ミステリー、SF、ファンタジー、児童文学、純文学など、そのジャンルは多岐に渡ります。 

 作者の読書量、これはもう並大抵ではありません。

 そのためでしょう、登場人物がおこなう作品紹介が秀逸です。

 読書が好きな人は、完全にやられちゃいますよね、これは。


 そして、文芸部ですから、創作に関するエピソードも当然あるわけで、書くのが好きな人にもお勧めできる作品となっています。


 え? 学園ものなのに、恋愛要素はないのか?

 当然ありますよ。

 ただ、その辺は作中で楽しんでいただきたいなあ、と。

 だって、「気になる」が「ほのかな恋心」に変わる所は、やっぱり自分で読まなくちゃ。


 どうです? 読みたくなったでしょ?

 特に、カク・ヨムしているあなた、これはもう読むしかない!


【霧乃宮高校文芸部】

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888725712








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