訃報
二十歳で王位を継いだ日に、私は画家の訃報を知った。
偶然、小間使いたちの噂話を耳にしたのだ。
彼は
私は小間使いたちに気付かれる前に、すぐにその場を立ち去った。
画家の死を知っても、私は涙ひとつこぼさなかった。
戴冠式を終えた私は小国とはいえこの国の女王であったから、過去の感傷などで感情をあらわにすることは、たとえ一人の時でさえ許されるはずもなかった。幼い頃から、私はそう教育されてきたのだ。
画家の結婚は、どうやら長くは続かなかったらしい。
このことも、後から小間使いたちの噂話で知った。
彼の妻は三年も経たないうちに夫を残し、海を渡って一人で大国に移住したという。
おばあさまの
私は王位を継ぎ、二十二歳の初夏に政略結婚をした。
次の年には王位継承者である王子が生まれ、私は籠の鳥としての務めを一つ果たし終えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます