第3話
「やあやあやあ!よく来たねケイスくん。事情は聞いてるよ。入りたまえ。ジョーくんやメアくんに声をかけて貰えるよう、頼んでおいたから2人が来るまでお茶でもしようか。」
勢い良く開けられたドアから出てきた人物は、捲し立てる様な口調とは裏腹にとても美しい人だった。
枝毛1つない長い髪に透き通る様な白い肌、そんなありきたりな表現がぴったり当てはまる様な人なのだ。そんな人物が何故こんな田舎で、子供達にいろいろな授業をしているのかは、俺にもよくわからない。
「先生落ち着いてください。それと足を踏んでます。」
「おや!それはすまないね。すぐに退けよう。とにかくこんな玄関先で客人を待たせるのは申し訳ないからね入りたまえ。」
「はい。」
今度は抵抗することなく素直に家に入る。誰も好き好んで突っ立っていたい訳ではないのだ。
先生の家でお菓子を食べていると外から声が聞こえてくる2人分という事は一緒にやってきたのだろう。
「むむむ!来たようだね、すまないが私は授業の準備をするから、ケイスくんが出迎えてくれるかな。」
「わかりました。」
ノックに合わせドアを開けるとそこには俺の幼なじみのジョーとメアが立っていた。メアは何時も通りニコニコした顔だが、ジョーの顔は緊張からか何時もより強張って見える。まあアンナさんの家に来る時は、何時もこうだからむしろ普段通りだろう。
「いらっしゃい2人とも。先生は今準備をしてるから僕が出迎えに来たんだ、さあ中に入って。」
「なんだケイスかよし!お邪魔しまーす!」
「もう!いい加減その大声やめてよね!毎回聞かされるこっちの身にもなってよ!」
「なんだと!こっちから押しかけてるんだから挨拶は当然だろ!」
「まあまあ2人とも先生が待ってるし、もう行こうよ。それにジョー、先生は優しい人だしわざわざ入るって事を強調しないで本人に直接言えば、それでいいんじゃないかな。」
「………目の前に居るのに元気よく挨拶なんてできる訳無いだろ。」
「え?今なんていったのよ?」
「ああもう。なんでもない行くぞ!」
ジョーはそう言って一緒に来たメアを置いてズンズンと先へ行ってしまった。
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