第2話

夢の中にいた。倒れた地面は硬い土から草へと変わり、沈みかけの太陽が空を赤く染め上げている。起き上がった視線に先には2人、片方が剣を突き立てもう片方は膝を折り静かに佇んでいた。

「これで終わりだ。」

男がそう言うと剣を引き抜き立ち去る。俺はゆっくりと切られた方へと近づいた。

「奴を殺せ。それがこの世界を救う唯一の方法だ。」

斬られた男はこの世界に来る前にあった男だった。断言する様な強い口調の割に声は酷く弱々しい。

奴と呼ばれた人物が何をしたのか、これから何をするつもりなのかも分からないのに、俺は心に殺す事を誓っていた。



「あなた!ケイスが目を覚ましたわ!」

「本当かい⁈ケイス大丈夫かい?痛いところわ?」

目が覚めると目の前には両親がいた。父さんは今日、仕事があったはずだけど俺のために帰って来てくれたと思うと凄く嬉しい。

「大丈夫だよ。何処も痛くなんてないよ。ちょっと急に眠くなっちゃったんだ。」

「そうか無理は禁物だぞ。明日は、うーんそうだお隣のアンナさんの所で遊びなさい。僕も母さんも仕事で付いてあげられないからね。」

「うん!わかった!」

「ごめんねケイスいつも1人にして。」

「ううん。僕は優しい父さんと母さんが大好きだよ。」

そう言うと父さんと母さんは何も言わず俺を抱きしめる。両親の仕事が忙しいのは確かに寂しいけど、仕事より俺の事を優先してくれる優しい2人が本当に好きだった。



日が落ち始めていたこともあり、早めの夕食を3人でとりたわいのない話をして眠った。3人で川の字で眠るにはベットが狭かったけど、2人は今日の事を心配して一緒に眠ってくれたのが少し嬉しかった。2人に話さなかった今日の出来事を思い出して胸が痛んだ。



朝に母さんに起こされご飯を食べる。

「ケイス。アンナさんがいるから大丈夫だと思うけど、倒れたりしないよう気をつけるのよ!」

「うん!母さん。」

昨日起こった出来事を思い出すが今何をすれば良いかは分からなかった。だから取り敢えず何時も通り体を鍛えて勉強を頑張ろうと思う。その為にも、今日はお父さんに言われた通りアンナさんのところに行こう。



アンナさんは魔術師だこの町にはたった1人しかいないとても貴重な存在だった。ただ本人は気さくな人で、町の子供達を家に招き入れ魔術や勉強を教えてくれたりしている。

「アンナさーん!」

扉に向かって声をあげるとゆっくりとドアが開いた。

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