君の

田中太郎

第1話

血塗れの男が目の前に立っていた。

「ねえ、何してるの?」

声をかけると男が振り向く。顔は見えないが笑っているように感じた。

「私は過去からやってきた神殺し、と言っても子供にはわからないかな?少年君に私の使命を受け継いで欲しい。」

突然現れたと思ったらわけのわからないことを喋る男がとても怖かった。

「うちから早く出てってください!」

僕の叫びを聞いて男は目線を合わせる様にしゃがみ込んだ。

「混乱してるだろうすまない。だが私には君しかいないんだ。これを君にそれだけで私はここから消える。」

男が差し出した手には蒼色の水晶が

のっていた。恐る恐る受け取ると男の表情が見える。瞬間、目の前が暗くなり地面にぶつかる感触だけが残った。

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