恋愛に関するもの

パートナーを得る

 合意の上でパートナーと親密な関係を構築することです。


●コンセプト


 鈍感な相手の気を引く。(初恋もの)


 不治の病にもかかわらず愛する。


 誰かの恋人を奪う。(不倫もの)


●考察


 「パートナーを得る」がメインの長編の場合、いきなり告白してはストーリーが終わってしまうので「友達以上恋人未満」の状態をできるだけ長く続けるための工夫が必要になります。


 ちゃんとした理由があって付き合えない、というのが本来は一番自然なのですが、学生同士の恋愛には使いにくいのが難点です(他の誰かと付き合っているという場合を除く)。家の事情で、などの理由をつけるならそれについて十分説明する必要が発生してしまい、話が重く、恋愛以外の描写にページを割かなくてはならなくなってしまいます。不治の病のせいで付き合うのを躊躇する、というのが一番スマートな設定でしょう。話が重くなるのは避けられませんが、恋愛以外の描写は最低限に抑えることができます。


 いわゆる「鈍感系・難聴系」キャラを使えば、どれだけアプローチをしても、気づかなかったで済ますことができますが、使い古されているので別の要素を含める必要があります。しかし「難聴」なキャラがでるとすぐ「ああまたか」と思われるほどに目立つのでなかなか難しいです。最近たまに見かけるのが、完全無視するパターンでしょうか。これなら「難聴」なキャラが読者をイライラさせることはありません。無視の理由には、同性愛だからとか兄妹・姉弟だからなどの理由があるときも、全く理由がないときもあります。片方が必死にアプローチを続け、もう一方は全く意に介さない。いつの日にかその努力が実るかもしれない、というのは読者の心の中に勝手に発生するに任せ、キャラにそれを演じさせない、というやり方です。


 ご褒美として付き合ってあげる、というのもあります。大学に受かったら、とか大会で優勝したら、とかが多いでしょうか。その場合はメインの「面白さ」は「奪い取る」(後述)になります。ちょっとした恋愛要素を入れながらも、目的を達成するまで正式に付き合うのを後回しにできるのが利点です。「奪い取る」と「パートナーを得る」の違いは、「奪い取る」では恋愛において片方の自由意志が無視されているというところです。最初の目的が「奪い取る」だったとしても、ストーリーが進むにつれて、互いに自分の意思で付き合う、つまり「パートナーを得る」に変化する場合が多い、というかそれが王道でしょう。


 不倫も「奪い取る」の一種です。ただ不倫はネガティブなものなので、それを正当化する理由が必要です。相手の夫婦は完全に関係が冷え切っているとか、不倫カップルの方が真実の愛である、運命の相手であるという描写をいれるとか。そうすることによって「奪い取る」から「パートナーを得る」に変化させます。さらに例えば心中とか、ずっと逃げ続けるとか、結局別れてしまうとか、不幸な結末を用意することによって、こういう恋愛も架空の物語としてはありかもしれないと読者に思わせることができます。


 相手を次々と入れ替えていけば、ストーリーを長々と引き延ばす苦労がなくなるし、何度も告白シーンというクライマックスを味わうことができる、という発想もあります。ハーレムものがこれですね。ハーレムもの以前では、毎回違うヒロインが出てきて主人公を愛するが殺されたり、付き合えない理由があって去るというパターンが主流でした。「男はつらいよ」とか「スペースコブラ」ですね。長々と引っ張る相手と「今回のヒロイン」の両方を使用するのもあります。「シティハンター」はシリーズを通してのヒロインと、依頼者というかたちで現れる「今回のヒロイン」の両方を使い、「通しのヒロイン」が「今回のヒロイン」に対する主人公の節操のなさに怒ったりしながら、つかず離れずの状態を維持することに成功しています。


 考察のほとんどが、どれだけ引き延ばすか、になってしまいました。それだけその部分がキモだということでしょう。「鈍感系」は避け、別の「面白さ」も同時に取り入れれば作りやすいのではないでしょうか。

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