勝負に勝つ

 何らかの基準によって競い、それに勝利することです。参加者はその基準を遵守することを暗黙の了解としています。


●コンセプト


 優秀な助言者を得て勝つ。(メジャーリーグもの、響け!ユーフォニアム)


 天才的な主人公がチームに入ってきたことによって勝つ。(キャプテン翼、YAWARA!、咲-Saki-)


 相手の想定していなかったことを思いついたことによって勝つ。(能力バトル一般)


 相手を精神的に動揺させて勝つ。


●考察


 勝負に勝つためには当然ルールが必要です。よってこの「面白さ」が活かされるのはスポーツやゲームに類するものを題材としたストーリーになります。


 とにかくたくさんあるのは、ダメ主人公やチームが優秀な助言者や指導者を得ることで大会に優勝したりするパターンです。メジャーリーグものは大体ここですね。他にも「あしたのジョー」、「ロッキー」、「スラムダンク」、「DEAR BOYS」、「響け!ユーフォニアム」などなど。


 主人公の成長を描くのに最適です。すさんだ生活をしている主人公が厳しい指導者にたたき上げられて、栄光をつかむ、とか。また部活や学生生活と相性がいいです。不良少年が更生するとか、恋愛や友情、進路の悩みとか。


 前段落と矛盾するように見えるかもしれませんが、団体戦をやるのに人数が足りないとか、部活の存続の危機にさらされているとかのダメチームに天才的な主人公が入ってきたことによってチームが息を吹き返すというストーリーもよくあります。それでも主人公の成長を描くことは可能です。よくあるのが主人公にモチベーション(やる気が起きない)や性格や恋愛や家族関係の問題があって、試合に影響するというものです。


 敵対するのは名門学校だったり、天才プレーヤーだったり。敵との断絶が少ないので、敵側のストーリーを掘り下げやすいのが「敵を倒す」との違いです。倒した後、友達になったり助言者になったり、解説役になったりするのもよくあります。「キン肉マン」などの80年代あたりのジャンプ漫画によくありますね。週刊少年ジャンプの掲げる「友情・努力・勝利」の方針を使いやすいです。

 また、ルールを守るということが根幹になっているので、卑怯なプレーヤー(大抵は前座的な相手)の対処というサブストーリーを作ることもできます。


 外部の敵に加え、内部の問題が発生することも多いです。メンバーやその家族の人間関係や指導者への不信。部活ものなら学業との両立とか。


 参加者の間で事前にルールを決めておくことにより、「敵を倒す」を「勝負に勝つ」に変更できます。決められたリングから出たり、テンカウントをとられたりしたら負け、など、「ドラゴンボール」の「天下一武道会」にはそんなルールがありました。そういうルールを作る能力を持つキャラを登場させることにより、能力バトルものに「勝負に勝つ」という要素を取り込むことができます。「幽遊白書」、「HUNTER×HUNTERグリードアイランド編」、「ジョジョの奇妙な冒険スターダストクルセイダース」にもギャンブルやゲームの勝負を強制する能力者が出てきます。


 殺人などの重苦しさを避けつつ、「敵を倒す」という「面白さ」をある程度残し、なおかつ敵味方の人間関係も掘り下げられる、といういいとこ取りのパターンですね。

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