第20話 サンプル採集開始

 起きて全方位、自分を囲っている土の殻を見て崩さないように明いている真上に脚に身体強化をかけて土の殻を飛び越える。昨日は寒くて起きることは無かったなと回顧しながらこのありがたい土の殻の魔法の名を考えて"風防殻"と名づけた。なんか土殻だとそのまんまだからと少し捻ったが特にいいとは思わず思考を移す。今日は緊張するから今は癒されたいと青い葉の木に魔力と水を与えて精霊語で会話して癒された後、枝を拾って今日も木の枝を地面に突き刺して今日の日を刻む。口内と手をを"清浄"して今日も朝ごはんを食べようと食糧を置いている場所を見るともう木の実の姿は逸失していて、あれだけ食べたのにも拘らず、全く変わらない存在感を威示する肉がそこにあった。


 そのとき決意することも無く当然かのように今から起こす行動が決定された。採集をしよう。採集をするとは言っても果物や木の実だけではない。そこらに生えている雑草もだ。タンポポは結構栄養があることはよく知られているし木の実や果物に限定して食べるものの範囲をわざわざ自分で狭めることもないんじゃなかろうか。さすがに虫は揚げたりしてでしか食べたくないものや食べるものだって蛾やゴキブリは何となく嫌だし、採集するときに捕まえないといけないというまた別の労力が発生するから今回は虫は捕らないで置こう。


 採集をするとは言っても舐めてはいけない。舐めてあんな大鷹に出会うなんて阿呆らしい。ここから離れるときは、狩りをするときと同様に、魔素同調と魔力隠蔽はしなければいけない。気配を消して敵と出会わないように隠密も意識する。


 後、今からの採集は食べるための採集であるのは間違っていないのだが、具体的に言えば食べられるかどうかを確認するための採集である。採って即食べはできない。記録する紙もパソコンのメモリーも無いが、この世界で食べられるもの、食べられないもの。毒が強いもの、弱いもの、それぞれを分類してそれを把握していかなければいけない。どこに把握するかといえば無論自分の脳みそだ。覚えるのめんどくさいとかだるいとか忘れちゃったとか学校みたいな甘さは必要ない。全部を覚えられない可能性も決して消えないが限界の限り覚えて自分の命を守るために覚えないといけない。将来の不確定な夢を叶えるための使うかどうか分からないことを覚えるんじゃない。今生きるために絶対使うことを覚えるんだ。モチベーションの心配は無い。どう覚えるかだが、自分は短期記憶能力は人よりちょびっとは優れているとは思う。テスト前は一夜漬けやその場でもある程度は覚えられる。だが今必要なのは長期記憶能力だ。それをいつでも思い出せる必要がある。普通に覚えていたんではその自信は無い。テスト前にぱっと覚えたことを1ヵ月後になーんだ?とは言われてもこれまたある程度なら答えられるが完全記憶能力や日付で記憶が検索できる人間ではない為、完全に答えることは不可能に近い。いちいち食べる前に毒の検査をするなら大丈夫かもしれないが毒の検査は時間がかかるしあんな面倒なことを毎回やるなんて非効率的だ。安全なのかもしれないが、自分はできるだけ早く言語スキルを取得する必要がある。そんな時間は削減したい。なら完全記憶能力が無い人間が完全に近く記憶を保持する方法は何か。それは思い出すことである。これもテレビの受け売りだが、エビングハウスの忘却曲線というものがある。それは要約すると一定の時間を空けて思い出せば思い出すほど記憶の定着率は変わるということを表している。つまり、1回覚えて、満足してはい終わりと記憶の奥底に仕舞うと忘れてしまう記憶でも何時間後、1日後、2日後、1週間後、1ヵ月後と思い出せば記憶は取り出しやすくなり忘れにくくなるという訳だ。学校の勉強ではこんな気の長いこと実践できなかったがこれを行えば完全とは言えないが忘れにくくなるだろう。


 では最初に自分の周りにある草を採っていこう。こうやって採っていくと案外足元に生えてる草でもいろんな種類があるんだなと実感する。よく見てみれば青い葉の木の本当に近いところではまた違った草が生えていた。まだ青い葉の木の近くだから魔力隠蔽はしていないが、一応直接触るとだめな植物もあるかもしれないし手を手袋をはめるように魔素を纏って抜いていく。7種類の草を集め、一応、風で飛ばされないように"風防殻"の中に草を置いておく。

 

 これからは青い葉の木の近くより少し離れて採集を行う。もちろん草よりも果物や木の実優先で採っていくが、これからは青い葉の木の言わば勢力圏から少し離れるので魔力隠蔽や魔素同調をしたとしても、自分目当てで魔物が近づいてくるのはあまり無いかも知れないが、たまたま予期せずに遭遇することも当然あり、突然戦闘が始まる危険もあるから自分の今の状態を把握する為にステータスを見ておこう。



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名前  :尾崎友斗

レベル :3 

種族  :人

称号  :迷宮から生まれた男 迷宮とともにあるもの

年齢  :10歳

性別  :男

属職  :なし

状態  :正常

加護  :なし


生命力 :34/34

魔力量 :39/45

攻撃力 :17

防御力 :15

筋力量 :24

体力量 :24/24

耐久  :21

敏捷  :17

魔法威力:23

魔法制御:50

精神強度:53

知力  :37


スキル :日本語

     剣術LV5

     大声LV6

     観察LV4

     暗算LV4

     早口LV8

     石頭LV5

     忍耐LV13

     魔力操作LV17

     魔力隠蔽LV10

     魔素同調LV12

     毒耐性LV1

     隠密LV4

     腹時計LV3

     脱兎LV2

     思考の渦LV7

     空腹耐性LV1

     血抜きLV1

     集中LV8

     精霊語LV12

     魔力循環LV6

     水魔法LV1


スキルポイント:0

魔法  :生活魔法

     土魔法

     光魔法

     水魔法

     風魔法

     雷魔法

     氷魔法


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 レベル自体は3だが、スキルは結構レベルが上がっている。魔力操作は魔素同調や魔力隠蔽も全部魔力を使っていることもあって一番レベルが高い。それとスキルの欄の一番下のところに水魔法のスキルが増えている。おぉ、うれしいぞよ。今までいろいろな魔法は使えたけどスキルとしては今まで全く無かったから手に入るのかどうか分からなかったが、これで手に入ることが分かった。よく使っている生活魔法の"清浄"よりも累計で使っている水魔法が取得できた。自分としてはLV1とは思わないけど、スキルは取得してから使っていかないと、経験の差もレベルに反映されないのかなと推測する。状態は正常で魔力量、体力量共に問題ないので今から採集に向かおう。

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