第7話 迷宮核と迷宮脱出

 はぁ、身体が痛い。疲れてるときは環境が悪くても気絶するよう寝ることができるが、起きるときは違う。どんな場所で寝たかで快眠度や寝起きの気分が変わる。これは個人差があるかもしれないが、今、それを実感している。環境を整えてから寝るようにしよう。ただでさえ、布団もベッドも枕もないんだから、最低限の寝心地は確保しなければ。と起きた後にうだうだ言っても仕方ないか。実際疲れてるときは何も考えられずに寝る。いつのまにか寝てるんだから。


 立って適当に服をはたき、頭をかきながら、朝ごはんがないことを思い出す。一応自分の手を水魔法で出した水で洗いその後それ又水魔法で出した水をごくごく飲む。うん。おいしい。水魔法様様です。


 立ってから気づいたのが筋肉痛。脚全体に筋肉痛を感じる。原因としては昨日歩き回ったのと身体強化で跳んだ、2つが挙げられるだろう。お、跳んで筋肉痛ということは、身体強化は一時的なものであるが、恒久的な体自身の筋力強化もできるということか。つまり、筋トレせずとも筋肉を効率的に鍛えられるかもしれない。


 あっ、そういえばポッケにあれ入れっぱなしだった。洗濯機にポッケにスマホを入れたままのズボン回してしまったときと同じような感覚になる。焦っても後の祭な気もするが、急いでポッケに手を突っ込む。あ、あった。よかったー。それをつかんで目の前でくるくる回しながら確認する。よし、ひびは無い。これにて確認終了。思いっきり地面にたたきつけて確かめるなんてできないが、案外頑丈なのかもしれない。あくまで耐久性は未知だからできるだけ丁重に扱うようにしよう。あの時光ったんだから唯の水晶玉とは考えづらい。昨日光魔法も使ったしステータス変わってるかな?確認しよう。



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名前  :尾崎友斗

レベル :1  

種族  :人

称号  :迷宮から生まれた男 迷宮とともにあるもの

年齢  :10歳

性別  :男

属職  :なし

状態  :空腹

加護  :なし


生命力 :30/30

魔力量 :19/19

攻撃力 :15

防御力 :15

筋力量 :22

体力量 :18/21

耐久  :20

敏捷  :15

魔法威力:11

魔法制御:17

精神強度:39

知力  :35


スキル :日本語

     剣術LV4

     大声LV6

     観察LV3

     暗算LV4

     早口LV7

     石頭LV5

     忍耐LV5

     魔力操作LV5

     毒耐性LV1

     隠密LV1

     腹時計LV1


スキルポイント:0

魔法  :生活魔法

     土魔法

     光魔法

     水魔法

     風魔法

     


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 称号が追加されている。迷宮とともにあるもの。これの意味はどういうものだろうか。迷宮の奥に行く前に確認したステータスには載っていなかった。つまり、迷宮の奥に行く前と行った後の間にしたことがこの称号を獲得した理由となる。したこと、壁に沿って闇の中を進み、光魔法を発動させた。単純に光を出しただけだが、一応光の強さによって分けて名前を付けておこう。名前を付けるのは頭の中で分類がしやすくなるし、実際この魔法の名前は他の存在によって既につけられているのだろうがそれに触れていない自分にとってこれらの魔法は自分が発動させたものなんだから、自分が呼ぶ分にはいいだろう。最初に発動させた暗い目に優しい光は"常夜光"、前方を強く照らしたのは"照道光"にしておこう。考えが脇道に逸れたが元に戻そう。したことは光魔法を発動させたことと、あの黒い球をとってきたことだ。そういえば小説では迷宮の最奥には迷宮の核、そのままだが迷宮核があって、それを壊してしまえば迷宮が迷宮でなくなったり、崩落するなどの設定があった気がする。その発想と同じくするならばこの黒い球は迷宮核と言うことになる。即ち、迷宮核を持ったことが「迷宮とともにあるもの」という称号ということになる。しかし、迷宮核を取ることは他の迷宮なら他の人間でもあるかもしれないが、それが迷宮とともにあるものということになるのだろうか。何か違う気がする。まぁいい。このことはまた今度考えよう。このまた今度は、また今度と言って永遠に来ない社交辞令的なまた今度ではない。


 他を見てみると、初めて筋力量が上がっている。筋肉痛がしっかりあるんだから特段の驚きはないが嬉しいものだ。それと体力量も地味に上がっている。こうして徐々に上がっていけたら幸いだ。魔力量もしっかり上がっている。他にもちょびちょび上がっているな。魔法威力はあんまり上がってないが今は制御重視でいきましょう。いっぱい魔力使ったら疲れるし、食糧確保してから威力もつけていこう。スキルの欄を見てみると忍耐もそうだが早口が上がっている。考えてるときの独り言か。ま、上がるに越したことはないか。早口なのは無自覚だが、一応、人と話す時は変えられる。ただ考えたり話す時に頭に出てくる言葉を読み上げていけば自然とその速さになるだけだから人と比較するまでは早口かどうかは分からなかったが。しかし早口、いったいこのスキルは何の役に立つのだろうか、もしレベルが100とかになったら発展スキルとかあるのだろうか、気になる。この早口の有用性を考えてると一つ使えるかもしれないポイントが浮かんだ。魔法の詠唱だ。早口で詠唱すれば魔法もそれだけ、一瞬の差かもしれないが早く発動するのではなかろうか。だがまず第一、呪文を唱えて魔法を使うとかもあるのだろうか。自分が使っている魔法は想像のみで言葉など発していないが使えている。よくよく考えてみると人間が使う言語なんて恣意的なもので花を"はな"と発音するのに絶対的な理由なんてなく、ただ昔の人がそう言っているのを脈々と受け継いでいるにすぎないし、どんどん言葉は変化していく。決まったこの言葉を唱えると決まった魔法が発動するなんて便利すぎるんじゃなかろうか。便利なのは一概には言えないが大歓迎なのでもしあるなら浪漫もあるし、使ってみたいが今は呪文を知らないし使えない。今でも便利すぎると思うけど。


 それよりも気になることがある、魔力操作のスキルが上がっていることよりもだ。それは"腹時計"のスキルの事だ。ついにスキル獲得までに至ったか。早かったな。このスキルの効果が気になる。このスキル、お腹の感覚で時間が何となく分かるらしい。スキルをクリックすれば読めた。そういえばこうやって説明が読めるなら他のスキルの説明も読めるのか、ま、まずはこれだ。このスキルの懸念事項が1つある。それはこれから一生、可愛くとか爆音でとかは分からないがお腹が毎日鳴るのではということだ。別に腹の音が鳴ったところで今までの人生というか前の人生では平然と日常を過ごしていたが毎日なのはきつい。もし静粛な場とか注目される場とかで、1人、腹を鳴らすのは嫌だ。鳴るのか鳴らないのか、これは結構な重要事項だ。これから、気にしておこう。


 魔法の欄に生活魔法と土魔法以外にも、光魔法と水魔法、風魔法と3つも魔法が増えている。あんだけ使ったらステータスの欄に載ってもおかしくはないが、生活魔法と他の魔法の境目が分からない。多分だけど生活魔法っていうのは生活のために使う、生活する時に必要なぐらいの少なめの魔力を使った魔法という感じだろうか。答えてくれる人はいないので、自己完結せず保留にしておく。ぐっ。両手をつなげて腕を前に伸ばし伸びをする。うっ、ふぅ~。一瞬脱力して体をほぐす。そういえば取得したいスキル、柔軟も努力で取得できそうだ。歌唱スキルは今の状態では安全が確保できるまで置いておくが、柔軟は習慣化すれば、がちがちでもないし案外早く獲得できるかもしれない。一応一通りの柔軟運動をやった後、迷宮の出入口の直前まで足を進める。この迷宮、外から伝わる魔力、魔素は遮断されているが、日の光などは全部通している。即ち外から自分が入口まで行けば見えてしまうということだ。そぉーと風沿いに出入り口直前まで近づき、景色を首だけ伸ばして慎重に確認するが、迷宮から見えた前方の景色は何ら変化がない。もう行ったのだろうか。分からないがこのままここにいても何も変わらない、否、腹が減るのでゆっくりと外に出た。初めて迷宮から出た時と違い、空には雲があり雲一つない快晴とはいかなかったがそれでも気持ちいい。吸う空気は何ら変わらないが気分が違う。はぁー、やっと出れた。

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