第35話 そのモノの名は…『オークプリンス』 上
「そっか…」とグンガ。
「ハイ、デシャラ君も頑張っていました。『ぶっ飛ばすの兄ちゃんみたいになる』って言って」と言うと、鼻の下を人差し指でこすりながら満足そうな笑みを浮かべる。
「もう…2年くらいじゃない?」とミーシャ。
「そうだね…あの時も1週間いて、迷惑かけたからね…」とレディGが付け加えた。
「デシャラか…」とグンガ。
その表情を見て、「おめぇ~覚えてねぇ~だろう!」とガリレオ。
ガリレオを見たグンガは大きな笑い声をあげて、「ぎゃははははは…なぁ~んにも覚えてねぇ~~」と爆笑を始めた。
「デシャラってのは、覚えてねぇ~けど、おっさんは覚えている!そっか…」と言い頷き。
「よし!フレディ、ミーシャ…そして、みんな。『デルヘルム』に帰るぞ!」と言いニカっと笑みを見せた。
「そうだな…ポドリアンさんの手紙の内容も分かったから…」とフレディ。
その言葉に、「わかったの?」とミーシャが言う。
グンガも見て、「デブ髭のおっさん…なぁ~に書いて来たかわかんなかったからなぁ~」と言い、アサトを見る。
「んで…デシャラってのは、狩猟者になるって言っているのか?」と聞いて来た。
その言葉にハッとした表情でグンガを見た、その表情はニカニカと笑っている。
「え…えぇ…バシャラさんも旅をさせたいって言っていました。」と言うと、大きく頷いて。
「よし、アサト!そのガキは、おれが貰う!」と親指を立てた。
その言葉に一同が、「あぁ?」と一斉に声にした。
「…あんたはバカ?」とミーシャ。
フレディは頭を抱えている。
ガリレオはネズミをアリッサへと向けていて、その間にいたミーシャは、言葉にするとガリレオを再び叩き倒していた。
レディGは呆然と見ている。
グラッパは…すでに横になっている。
「いいじゃねぇ~か。」とガリレオ。
「どういうつもりだ?」とフレディが聞くと、「あぁ?どういうつもりって…面白そうだからだ!」と答えるグンガ。
「あんたねぇ~、仮にもよその子よ」と諭す。
「構わねぇ~よ。アサトらだって、よその子仲間にしたじゃねぇ~か!俺たちだって旅をして、色々やってきた結果、こうして生きているんだ!。みんな強くなっているんだ!それに…」と言い、アサトを見て。
「…なんか、人多い方が面白いし…、いいなぁ~って思う。」とニカっと笑う。
そして、ミーシャを見て、「大丈夫。ミーシャ、フレディ。俺たちも行こう!『アブスゲルグ』に!」と親指を立てた。
一同がグンガを見て「おまえ…どこからその地名を…」とクラウト。
すると「あぁ…地下室で聞いた。」とグンガ。
「盗み聴きか!」とフレディ。
「違うよ、たまたま食うもん探していたら、ミーシャがおっさんとおばさん連れて下がって行ったから、そこでなにか俺たちとは違う宴会開くんじゃないかと思って、付いて行ったら…クラウトが話していたんじゃないか…」と言い、ニカっと笑みを見せ。
「とりあえず!行くぞ『アブスゲルグ』!どこにあるか知らないけど…面白くなりそうだ!」と言い、ノブタの肉に手を伸ばした。
そのグンガ目掛けてミーシャが拳を繰り出し、「…仕方ないね…ポッドさんの召還もその件なんでしょう?」と聞くと、フレディは頷く。
それを見てミーシャは一つ息を吐き、「いいわグンガ。それじゃ、あなたは本当に強くならなくちゃ!」と言う。
ネズミを銜えて、「俺強いじゃねぇ~か!」とグンガ。
その言葉に、「本当のよ!本当の!」と言い、「私に考えがある…これを呑めないのなら…全部話は無しよ!」とニヤニヤしながら言う。
「なんだよ…それ?」とグンガ。
「そうだよ!普通の乳のくせに威張んなよ!」とガリレオがつけ加えた。
ミーシャは、目を細めて二人をじっくりと見る。
「それでぇ…どうなの?」とちょっと低い声で言うと、咀嚼していた口を止め、ちいさく俯くグンガ。
その近くに正座を始めるガリレオ…。
「あぁ、いいよ…」とグンガ。
「アサト君と違う受け答えね…」とミーシャ、すると「はい…わかりました。仰せの通りに…」と頭を降ろした。
そのそばでガリレオも土下座をした。
「よし…それでよしよぉ…やればできるじゃないぃ」と言い座ると、「豚の肉…小さいのなら食べていいわ」と言葉にする。
その言葉に、二人はすぐさま顔を上げて肉に飛びついた。
「とりあえず、私らは、この子らに戦える強さをつける修行をするから…」とミーシャが、アサトとクラウトを見ながら言う。
「強さ?」と聞くアサト。
その言葉に、「そうね…。クラウトが言うように、これから出会う敵は、私らの常識以上の非常識を備えたモノ…なら、それ相応の非常識を私たちも備えなきゃね。こう見えても…このパーティのアタッカーとサブアタッカーですもの…」と言い、豚肉をむさぼっている2人を見て、「かなり調教が…必要ね…」と言葉を残した。
本当の強さ…。
翌朝。
「な…なんだこいつ?」と見上げながらグンガ。
「て…てか…これ、化け物じゃねぇ?」とその隣でガリレオ。
「儀式を始める…」としゃがれた声を作って言葉にしたセラは、少しうつむいた。
そのセラを見て、「どうした?セラッチ、なんか考え事?そういう時は、キューティーケイおねぇ~ちゃんに相談しなきゃ」とケイティが肩に手を置く。
グンガとガリレオが振り返りケイティを見て。
「おぃ…聞いたか?」とグンガ。
その言葉に、「キューティーケイちゃんって言ったぞ、貧乳のくせに」とガリレオがニヤニヤしながら言った。
「ムッ!」と睨むケイティ。
…すると…。
「おぉぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁちぇぇぇぇぇぇぇすとぉぉぉぉぉ!」と掛け声を上げながらグンガらに向かって行き、ガリレオめがけて飛び蹴りをくらわした。
グンガは寸前で逃げ、「キューティーケイちゃん!こっちまでおいでぇ~」と挑発する。
「…ったく、チビクロサンバが!」とケイティ。
その言葉に倒れていたガリレオ。
「チビクロサンバ?」と言うと、横になった姿勢で腹を抱えながら爆笑を始めた。
「なにがおかしい。エロモヒカン!」とグンガ。
「エロモヒカン?」とケイティ。
すると…。
なぜか…、そのモノの前で3名が戯れ始めた。
頭を抱えるミーシャとフレディ、そしてクラウト。
アサトも苦笑いを浮かべて見ている。
「どうしたのセラちゃん?」とシスティナが優しく声をかけると、システィナを見て、「召喚の儀式は、召喚のコインと命名が必要…」と言いうつむいた。
「名前つけるの?」とアリッサが聞くと、小さく頷く。
「そうなんだ…」とアサトは、そのモノを見た。
クラウトがセラらの行動を見ると近づき。
「セラ、迷う事は無い。僕らはこれを、『オークプリンス』と呼んでいた。その名前は、強さと恐怖。そして…誰もが知っている名前だ。これから僕らは君の為に多くの召喚石を持つ魔物を討伐する。だから、今回はその名前でいいんではないか?」と言うと、クラウトを見上げて、「…婿殿がそう言うのなら…」と言葉にした。
その言葉にメガネのブリッジを上げて、「婿では無いが…」と言うと、「嫁に来て欲しいのか?」と聞く。
その言葉に……。
「さぁ…契約の儀式を…」とそのモノへ向けて手を差し出した。
その行動を見て、「ム………」と力を込めるセラ。
その肩をシスティナが抱いて、「セラちゃん、やりましょう」と言葉をかけた。
システィナを見て息を吐き出すと、そのもの…『オークプリンス』に近づく、そのそばで戯れていた3人がセラに気付くと、戯れをやめてセラを見た……。
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