第34話 面白パーティーとのグルヘルムまでの旅… 下
馬車の手綱をミーシャが持っている。
その隣にシスティナが座っていた。
荷台の中でなにやらドタバタが始まると、アリッサが怒っている声が聞こえる。
その声に言い訳しているセラとケイティ。
その声を聴いて、「ほんと…さっき乗ったばかりだけど、姉妹みたいね」とミーシャが言葉にすると、「そうですね」とシスティナが答える。
「そうだね…アリッチは、全体をまとめる長女って感じで、ケイちゃんは自由気ままな3女、セラちゃんは、まだどんな子かわからないけど…でも、仕草を見ていると3人を慕っている末っ子って感じかな…そして、シスちゃんは、誰にでも優しい次女…って感じかな?」と言いシスティナを見ると、小さく肩をすくめて頬を赤らめる。
「でもね…それが一番大切だし…、一番大変なのよね…」と言うと、「わたしは…そんなつもりじゃ…」と俯きながら、システィナが言葉にした。
「そうね…」とミーシャ。
「シスちゃん…」とミーシャが遠くを見て言う。
「クラウトから聞いたは…、この先。シスちゃんが無理だと思ったら…言ってもいいんだからね…」と、そして、「アサト君なら判ってくれる。あぁ見えて、クラウトもね…」
その言葉に、「インサンにも言われました…」とシスティナ。
ミーシャは小さく微笑み。
「そっか…、自分を大切にね…」と言いながらシスティナを見る。
システィナは小さく頷いて、「ハイ…、自分が出来る所まで頑張って…みます」と答えると、「それでいいと思うわ…」とミーシャが言い、前を見ると…。
「グンガぁぁぁぁぁ」と強張った口調で言葉を発する、その言葉を聞いたシスティナは顔を上げて前を見ると…。
穴?から顔を出して大声で笑っているグンガがいた。
すると、少し奥の穴からガリレオが顔を出して笑っている。
何やらはなすと、グンガが穴の中に入る。
同時にガリレオも姿を消した。
至るところからグンガとガリレオの下品な笑い声が響いている。
「フレディ!」とミーシャ。
その言葉に、フレディとクラウトが近付いて来ると。
「うちのバカコンビ、またなにか見つけたみたい」と指を指した。
指した場所にガリレオが顔を出し、辺りを見渡す、と、また姿が見えなくなった。
そのそばからグンガが顔を出し、辺りを見渡し、大声で笑うと姿を消した。
「穴ネズミの穴で遊んでいるんだな」とフレディ。
「ネズミは食べたくないわよ」とミーシャが言うと、グンガが穴から出て来た、そして、細長い何かを引っ張り、穴から何かを出そうとしている。
その近くからガリレオが顔を出す。
ガリレオにグンガが何か叫ぶと、穴からいそいそと出てきて、その何かを引っ張っているグンガを手伝い始めた。
「フレディ?」とミーシャ。
「いちいちグンガの後始末…俺にむけるなよ…」と言い、振り返ると、「グラッパ…あいつら」と声をかける。
その言葉にグラッパがもっそりと走り始めた。
タイロンもとりあえずと言う感じでついて行く。
近づく2名に気付いたグンガが何かを叫んでいる、と、グラッパとタイロンも、その長い物を引っ張り始めた。そして…
スポッという音…は、出てはいなかったが、体長1メートルほどの真っ黒いネズミが穴から出て来た。
尻尾と思われる物を引っ張っていた4名は、尻もちをつきながら仰向けに倒れると、グンガとガリレオがスクッと立ち上がって。
「今夜の晩飯だ!」と叫ぶ。
その叫びに…。
「フレディ…あいつ殺して!」とミーシャ、その言葉に頭を抱えるフレディ。
逃げるネズミを追いかけるグンガとガリレオ…。
その姿は、再び穴に入り見えなくなった。
その光景を見て…。
「置いて行きましょう」とミーシャ。
馬車は、タイロンとグラッパが起き上がろうとしている場所近くを通っている。
その周辺の穴からグンガ、ガリレオが顔を出して、何故か爆笑していた。
その不気味な笑い声が至る所のあなからこだまして聞こえていた。
奇妙な現象に荷台に居たアリッサ、ケイティ、レディGとセラが顔を出して辺りを見渡している。
とグンガが顔を出して大声で叫ぶ。
その声にガリレオが顔を出して「いたぞ晩飯!」と叫ぶと、「俺がぶっ飛ばす!」とグンガが消えた。
その会話を聞いていたミーシャはこめかみに青筋をたてていた…。
グンガらの奇行で思う様に進めなかったアサトらは、それでも…、2日で着く行路を4日かけて『グルヘルム』付近に辿り着いた。
夕暮れが終わりそうな時間だったので、野営をする事になった。
ミーシャの話しでは、ほとんど野営をしているようである。と言うか、男どもは…。
女性は近隣にある村の一角や、空いている部屋などを借りて宿泊していたようである。
グンガとガリレオは何処でも寝れるし、いい見張りにもなるようだ。
晩飯を食わせなければ、近寄ってくるモノ音に反応して、狩ってくれるようである。
さすがに亜人やゴブリンらは狩らずに張り倒していたが、ノブタや猪、熊辺りまでは狩っているようである。
今夜は、男全員が外で寝て、女性は馬車とテントを使う事になった…。
「アルパイン?」とグンガがネズミを銜えながら言う。
「なんだそれ?」とガリレオがネズミの頭を齧り始めると、ミーシャが二人の頭を殴打する。
…最近、このパターンが見慣れてきている…。
「まったく…、こんなかわいい子たちがいるのに、なんであなた達わ!」とミーシャ。
ネズミは、グンガとガリレオが近くにあった穴ネズミの巣から狩って来ていた。
それと、レディGがノブタを狩り、今夜はネズミとノブタの肉が夕食である。
もちろん、ネズミはおバカコンビが食う事になった。
「バシャラさんの家に寄りました」とアサト。
口の中でネズミを咀嚼しているグンガが、腕組みをしながら考えていた。
火を囲んで、アサトの隣にジェンスが座り、ジェンスの隣にタイロンがノブタを食べて座っている。
タイロンの隣にはアリッサが座り、その隣にミーシャ、ガリレオ…。
ガリレオの隣にグンガがいて、レディG、フレディ…は、隣に座っているケイティをニヤニヤしてみてる。
ケイティの隣でセラがクラウトの腕に抱き着き、クラウトは、視線を合わせないようにアサトだけを見ていた。
グリッパは…その一同の後ろで寝ていた…。
アリッサにネズミを勧めるガリレオの姿がある。
目の前を行ったり来たりしているネズミを見て、ミーシャが目を閉じ、眉間に皺をよせ、こめかみに青筋を立てている。
「デシャラ君にも会いました…」とアサト。
その言葉に、「あぁ…懐かしいな…」とフレディ。
咀嚼していたネズミを飲み込むと、「懐かしい?」とグンガが聞いた。
「あぁ、俺たちが『デルヘルム』から出て一番初めにあった亜人だろう、お前が勘違いしてぶっ飛ばされたカンガルーの…」とフレディ。
「あっ!」とグンガが立ち上がり、「思い出した!あのおっさん強かったなぁ~」と言いながら、遠い場所にあるノブタの肉に手を伸ばすと、アリッサにネズミを勧めていたガリレオめがけて、拳を繰り出したミーシャが、その勢いでグンガの頭に拳を振り下ろし、「あんたらは、このくっさいネズミ!」と鼻をならした…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます