第33話 面白パーティーとのグルヘルムまでの旅… 上

 アサトは振り返り馬車に向かうと…。

 ミーシャが馬車の後ろから乗り込み、そして、セラ、システィナ…フレディ…が乗り込む…。

 しばらくすると「あっぎゃぁぁぁぁぁ」と言う悲鳴と共に、フレディが転げ落ちてくる。

 それを見ながらケイティ、アリッサ、そしてレディGが乗り込むと、馬車前方から「わかった、分かった…」と言いながらタイロンが馬車から下りて来た。


 その光景をグンガが見て大声で笑うと、「男は歩きよ!じゃ…『グルヘルム』へしゅっぱぁぁぁつ」と言い手綱を…。

 という時に「ちょっと待ったぁぁぁぁ!」とクラウト。

 そして、ミーシャの近くに行くとフレディを呼ぶ。

 アサトも一応ついて行く。


 「…僕は、なにか夢か幻をみているのか?」とクラウト。

 その言葉に、「おまえ、寝ているのか?」とフレディ。

 「クラウトぉ、寝言は寝てから言ってぇ」とミーシャが高い位置から笑みを見せながら言う。


 その二人に、「いやいや…可笑しい」とクラウト。

 その言葉に、「そりゃ…俺たち“グンガと愉快な仲間達”だからな」とフレディ。

 「クラウトぉ、面白いこと言うならフレディみたいなナイスなジョークでおねがいねぇ」とミーシャが高い位置から笑みを見せながら言う。


 その二人に、「僕は…悪夢をみているような…」とクラウト。

 その言葉に、「いや、お前はちゃんと起きているから安心しろ」とフレディ。

 「クラウトぉ、悪夢だなって…楽しいじゃない?こんなにたくさん人がいれば、それに…」と指を指す。


 その方向には、すでにグンガとガリレオが、何かを見つけたのか走り始めていた。


 メガネのブリッジを上げ、目を閉じると深呼吸をしてから目を開け。

 「おまえらに聞きたい事がある」とクラウト。

 その言葉に、「聞いても黙秘権を行使する場合があるがいいか?」とフレディ。

 「クラウトぉ、もう観念しなさい」とミーシャが高い位置から笑みを見せながら言う。


 その二人に、「どこに行くつもりだ?おまえらは…」とクラウト。

 その言葉に、「お前が行くところ…すべて…」とフレディ。

 「クラウトぉ…わたしたち貧乏でしょう。わかってよ…誰かに依存しなきゃ、成り立たないのこのチーム」とミーシャが高い位置から笑みを見せて言う。


 その二人に、「それは、アサトのチームになるって言う事か?」とクラウト。

 その言葉に、「それは…になる可能性があります、議長!」とフレディ。

 「クラウトぉ…なぁに面倒なこと言ってるのぉ?グンガのチームでいいじゃない。楽しいわよぉ」とミーシャが高い位置から笑みを見せて言う。


 その二人に、「断る!」とクラウト。

 その言葉に、「断られました、議長!」とフレディ。

 「クラウトぉ…もう…イヤなのあの人…」とミーシャが高い位置から笑みを見せながら言う。


 その二人に、「とにかく…」と言うと…。


 「クラウトぉぉぉぉぉぉ」とグンガが叫んでいる。

 そして、「早く行こうぜ!!」と叫んでいた。


 その言葉にフレディとミーシャを見て。

 「さっき、聞き飽きるまで『』に行くって言ってたのに、なぜ温泉なんだ?」とクラウト。

 その言葉に、「これがグンガ、そして、その気紛れに付き合う俺たちは“グンガと愉快な仲間達”」とフレディ。

 「クラウトぉ…」。


 「もういい!」とクラウトが言うと、ミーシャは目を丸くして、「まだ言ってないよ」と言う。

 クラウトは、「もうここからは別行動だ。」と少しきつく言うと、「まてまて、今までは冗談だ」と少し焦った表情でフレディが手を出してきた。


 その言葉に、「お前らの冗談は、キリが無さすぎだ!」とクラウト。

 「とりあえず、オーガからもらったお宝を換金するまではお願い。『ゲルヘルム』までは一緒にというか、持てないからお願い」とミーシャ。


 確かにお宝の山は馬車の1/3を覆っていた。


 「まぁクラウトさん。いいじゃないですか、もう少しで『グルヘルム』ですし…」とアサトが言うと、「もうアサト君は聞き分けのいい子。わたしそっちに行こうかな…」と笑みを見せながら言葉にする。

 その言葉に頬を赤らめると、「あらぁ…ちょっとキュんってきちゃった」とミーシャが言葉にした。

 アサトは小さくうつむきながら、「それじゃ…行きましょう」と言い、走り始める。


 駆け出したアサトを見ながら、「『グルヘルム』までだからな、その内にグンガがどこかに行っても、僕は知らないからな」とクラウト。

 「大丈夫、帰省本能あるから、その時はグンガの方からみつけるから」と、髙い位置で笑みを見せて言うと、馬を進め始めた。


 「面白そうな人達と一緒で良かったわ」と会話を聞いていたセラの母親が言うと、「そうだな。真面目過ぎるのもセラの個性を消してしまうからな…セラはセラらしく、あのチームで活躍して、無事で帰ってきてくれればいい。世界はひろいからな…刺激を受けて…無事に帰ってきてくれればいい。」と父親は母親の肩を抱いて遠ざかってゆく馬車を見送っていた。


 馬車のなかからセラが両親を見ていると、「セラ!」とケイティ。

 ケイティは大きな笑顔で、「今日から3人のおねぇちゃんが出来ました。」と言い、ニカっと笑うと、「よろしくね!」と言葉にする。

 その言葉にシスティナとアリッサを見て、小さくうつむくと、「わ…わかった…」と言葉にした。


 すると、「わかったじゃない!うん!おねぇ~ちゃん!よろしくぅ!と言えぇぇぇ!」とケイティはセラに飛びつき頬ずりをする。

 「やめろやめろ!」とセラ。

 その二人を見てアリッサとシスティナが笑い、レディGも大声で笑っていた。


 いつしか、セラも笑みを見せながら、目尻にあふれ出し始めている涙を少しだけ流していた。


 「走るのか?」とジェンスが言葉をかけてくる。

 その言葉に、「ウン、そうだよ。師匠も兄弟子のアルさんも修行は怠るなって言ってた。と言うか、走っていた方が、なんか楽だから」と言い笑みを見せる。

 その笑みに、「俺…剣貰ったけど、振った事も無いし、ましてや、殺すなって行為…。親父が狩猟者で、剣士だったから真似事はしていたけど…」とジェンスが言うと、アサトは小さな笑みを見せて、「僕もそうだった…。みんなそうだよ。」と返す。


 「セラを守るためにって思っていた…セラは妹みたいな感じだったから…、あいつイジメられて帰って来た時に俺…何もできなかった。目つきの悪い兄ちゃんが、何も言わずに村に行って、ボコボコにしていたのを見たけど…。それでも…」。 

 「あぁ…アルさんね…」とアサト。


 「アルさん?」とジェンスが返すと、「あの人も、あぁ見えて、案外誠実なところがありそうなんだ」と言うと「…いつも罵られていたけど…」と言い小さく笑う。


 「何もできない自分がな…」とジェンス。

 そのジェンスに「…できなくていいと思うよ。だから…これから学ぶ。そして、出来る事をやる…、最初から出来るなんて、なんて無いんだ…。」と言うと、「そうかな…」とジェンス。


 「うん…、師匠が言っていた。『そんななんてない』…だから…修行をするんだ。行こう!」と言いスピードを上げる。

 アサトの後ろ姿を見て、「最初から出来るなんて、なんて無いか…『』では多かったのにな…」と考えながら、アサトの背中を追い始めた…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る