第31話 おバカトリオと生まれる命 上
森に着く手前で、うつぶせになっている人影が見えた。
馬車を止め、その姿を見下ろしているミーシャは…。
「ここにも…うちのチームは、なんで…」と言いながら、「フレディ!そこに寝てると引くわよ!」と声をかけると、むくっと立ち上がり、無言で馬車に乗り込んだ。
その姿を見て、「ここを通るのを見越して寝てたわね…」と眉間に皺をよせて言う。
アサトはミーシャの隣に座っている。
そのアサトを見て、「ほんと…少しだけでいいから、うちのチームの男たちにアサト君の雰囲気…分けて欲しいわ」と微笑むと馬車を進めた。
…いやぁ…。
しばらく進むとグンガの声が聞こえて来た。
馬車に気付いたレディGが立ち上がり手を振っている。
そのそばで大の字をかいて横になっている男が見えた。
グラッパである。
毎日その場で寝ていたのか、グラッパのサイズで草が枯れ始めていた。
ガリレオが腕組みをして立っている、その前にグンガが腕組みをして何やら話していた。
その前には、なんと山盛りになったお宝発見!その向こうに通訳オーガがなにやら話している。
「だから~~、なにわけわかんない事言ってんだよ!サンケ?サムケ?…なんだ、そのケって?」とグンガ、その後ろでガリレオが頷いている。
「夕べから産気づいているんだ…今はそっとしておいてほしい」と通訳オーガが言うと、「あぁ?だから…産気?ってなんだ?吐き気ならわかるけど…風邪か?」とグンガ、その言葉に頷いているガリレオ。
馬車を止めるとミーシャは手綱をアサトに渡し、近くにいるレディGの傍に来て。
「なにあれ?」と指を指した。
「オーガが、あれで勘弁してくださいって言ってるんだよね…」と言うと、馬車から様子をみていたフレディが出てきて。
「やっとその気になったか」と言いながらガリレオの傍に行く。
通訳オーガがフレディをみると、胸を撫でおろしたかのような安堵の表情を浮べ。
「いい所に来た、髪の長いの…。」と言うと、ミーシャを見る。と。
「やっぱお前はいい!そっちの女性…」と指を指す。
その行動に「…よし、グンガ突入だ!」とフレディ。
「なんで!」と通訳オーガ。
「今、さらっと俺を侮辱した!」とフレディが声を荒げる。
「これは男より女の方が、話が早いんだよ!」と言うと、「あぁ?何言ってんだ?」とガリレオが前に出る。
「おめぇなぁ~、ミーシャは大きくも小さくもない、どこでもある大きさのおっぱいの女だぞ!そんなのが話聞ける訳無いだろう!女はおっぱい!おっぱいは巨乳で金髪!」と言い振り返ると…。
「っちぇぇぇぇぇぇぇスト!」とケイティの飛び蹴りを喰らい、宝の山の近くまで転がった。
それを見てグンガが爆笑する。
「なにしやがんだ貧乳娘!貧乳は悪なんだよ!」と言うと、その言葉にグンガが、「何?悪?」とケイティに向かい構えて反応をする。
「何言ってんだ!貧乳は正義だ!」とフレディ。
その言葉に、「なんだ正義か」とグンガ。
「ばぁ~か、悪なんだよ!パッドなんか入れて見せ乳造った日には、詐欺師だぞ!」とガリレオが言う。
「そりゃ…詐欺は重罪だな!終身刑だな!」とグンガ。
その二人に、「…もう…あったま…」と握りこぶしを作って顔を真っ赤にするケイティ。
「ケイちゃん、ここはおねぇさんに任せて」と言い、ミーシャがフレディの所に来る。
「さて…あなたはどうされたい?」と聞く、その言葉に背筋を伸ばすと生唾を飲み…。
「あの二人に…」と言うと、そのミーシャの表情とフレディの行動を見て。
「おっ、おれ…なにも…今日はまだなにもしてねぇ~ぞ」とグンガ。
その向こうでガリレオが頷いている。
その二人を笑顔で見ながら、「フレディ…正座ね?」と言うと、素早く正座をすると同時に、「そんなんで許すかぁぁぁぁ!」とロッドで顔を思いっきり殴打する。
それを見たグンガから大量の汗が吹き出し、そして、土下座をして、「ミーシャ…ゆるして、もうしない、もうしない…って何を?」と言った瞬間。
「反省しろやぁ!」とロッドで顔を殴打する。
横になってヒクヒクしている2人を見ると、いそいそとガリレオが周りを見て、そのそばにあった宝の山から黄金に輝く何かを手にすると、「ミーシャ、ほら宝、宝…やるよ!やるやる」と差し出す。
「当たり前でしょう、それはわたしの…はい、じゃ、正座して…」と言うと、宝を山に戻ししぶしぶ正座をする。
「ケイちゃんに謝るの…」と言う。
その言葉に、「だって貧乳は…」と言うと、「あやまる…」とミーシャ
その言葉に、「ったく、貧乳は悪だって言ってんのによ…」と小声で言う。
「ガリレオ…」とミーシャが見下ろし、小さく、そして力強く言う、その表情と言葉に…。
「ケイティさん…ごめんなさい」と頭を下げた。
ミーシャは振り返ると、「ケイちゃんごめんなさいね。うちのおバカトリオ…」と言いながら笑みを見せた。
その笑みに「うん…」と頷くと。
「いいわガリレオ…顔お上げ…」と言うと、ガリレオは頭を上げた瞬間!
「ちぇぇぇぇスト!」と言う掛け声と共に、ミーシャのロッドがガリレオの頬を殴打し、ガリレオはその場に倒れ込んだ。
「ケイちゃん、この掛け声…すきっとするね。私もつかっていい?」と振り返りながら言う。
その言葉に、ガリレオを見ながら目を見開いて何度も頷いた。
それを見てからガリレオを見下ろし、「…ケイちゃんはゆるしても…わたしは許さないの…お決まりよね」と微笑む。
その後ろ姿をグンガが見て、「悪魔降臨…悪霊退散…悪魔が降臨…悪霊が退散」と小声でなにかを唱えていた。
馬を繋ぎ、クラウトとアサトはグラッパの所で状況を見ていた。
「それで?」とミーシャは宝の山の前に立つ。
「これでどうして欲しいの?」と聞くと、倒れているガリレオを、口を開けて見ていたオーガが正気に戻って。
「これで勘弁してほしいとの事です」と小さく頭を下げて言葉にした。
その言葉を聞きながら、辺りを見渡し、「そう言えば…ほかの人たちは?」とミーシャ。
その問いに、「今…奥様が産気づいていて…」と少し俯きながら言葉にした。
「なぁに言ってんだ?」と言いながら、グンガがミーシャの横に立ち、「産気ってなんだぁ?吐き気だろう!仮病を使って…なぁ、ミーシャ…?」とミーシャの顔を見ると、冷ややかな視線でグンガを見ている。
その眼に、「さ…さんけ…って…あるの?」と言葉にすると…。
「あんたは…」と言いながら、ロッドで頭を殴打する。
「子供が生まれるのよ!」と言うと、「どうなの?助けとか必要?」と聞く。
その問いに…、「男しかいないから…不安で…」と少し竦めながら言葉にする。
オーガの行動を見たミーシャは振り返り。
「ケイちゃん、レディ!手伝って」と声をかけた。
その言葉に2人が頷くとミーシャの元に走り出す。
「連れて行って。私達が取り上げるわ!」と言い、中に向かったところで振り返り。
「うちのおバカトリオは正座して、私たちが出て来るのを待つ!いいね?」と言うと、グンガが素直に正座をして。
「あのロッド…痛いんだよな…」といいながらガリレオを見た。
ガリレオも無言で正座を始める、そして、フレディも正座をした。
奇妙な光景がそこにあった…。
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