第30話 最凶の召喚士を仲間に迎える 下
「なにって…これからオーガ!ぶっ飛ばしに行くんだよ!起きろよ!」とグンガが何故かジェンスを起こすと、セラの家の扉が慌ただしく開く、そこには眠い目をしているセラが立っていた。
「よう!狐娘!行くぞ!」とグンガが大きな笑みを見せて言い、東を見る。
朝焼けの向こうに太陽が頭を出し始めるのが見えると…。
「うぉぉぉぉぉ来た来た来た来たぁぁぁぁ!」と声を上げ始め…。
「オォォォォォォォォガァァァァァァァァァァ今日こそ!お前をぉぉぉぉぉぉぉぶっとばぁぁぁぁぁぁぁぁす!」と吠えると猛ダッシュで走り始めた。
その後を、「ま…まてグンガ!俺がぶった切るんだって!」と言いながらガリレオが追随をはじめ、「ちょ…、ちょっと…待ってよう……」と言いながらグラッパが走り出した。
その声にセラの家に泊めてもらっていたレディQが出てきて、「朝か…行くかぁ…」と言いながら追いかけ始めた。
その後を眠い目をこすりながら、「フレディ…今日は、わたしはお休みよ」と言い中に入ると、なぜかフレディが転がって外に出てくる。
家の中から、「ほらぁ早く行きなさい!」と捲し立てられると、もっさりと立ち上がりながら尻を掻き…。
「じゃ…行ってくる」と言いながら後を追い始めた。
その姿を見てからタイロンが横になると、ジェンスも横になった。
セラは眠い目をこすって外に出ると登り始めた太陽を見る。
「おはよう、セラさん」とアサトが言葉をかけると、
「ガキには興味は無い!」と言い、「婿は何処だ?」と辺りを伺う。
その言葉に、「迎えに来たんだ」と言うと、ジェンスらに向かって進み、ジェンスらを起こすとセラを見て、「君たちに話がある…」と言い、セラの家の中に入った。
その行動に少しだけセラとジェンスが顔を見合わせると、小さく首を傾げてからついて行った。
地下室2層。
アサトとセラ、そしてジェンスが来ると、セラの母がセラを抱きしめた。
「お母さん…どうしたの?」と聞くと、セラを連れてベンチに座った。
「セラ…よく聞くんじゃ…」と狐の老人がセラに語り掛ける。
「旅に出たいか?」と尋ねると、「旅?」とセラ。
「率直に言おう、ここに居るアサト君とクラウト君は、お前を旅に連れ出したいと言っておる」と言うと、セラは二人を見た。
すると、階段からケイティとシスティナ、そして、少し遅れてアリッサとタイロンが降りて来た。
「だって…じっちゃん…」と少し踏み出す。
「じっちゃんはどうでもいい…この人達は、アルを知っているようだ」と言うと、「アル?って…、あの怖い人?」と聞く。
その言葉に小さく頷き、「アルは、お前をイジメたものをやっつけたって言ってたよな…」と聞くと、セラは小さく頷いた。
「そのアルの仲間が彼らなんだ…。アサト君は、弟みたいな者だと言う…。」と言いながらパイプを銜えて腰を落とした。
「お前はまだ小さい、だからな、わしも心配なんだ…。だがな…彼らはお前の力を必要としている」と言うと、アサトが立ち上がって、「お父さんとお母さんから話を聞いたら、セラさんは12歳と言う事だよね」と言うと、その言葉に小さく頷く。
「そっか…、僕の知り合いにチャ子って言う、セラさんと同じイィ・ドゥがいるんだ、その子はね、とても活発で、とても勇敢だと思うんだけど…。とにかく元気な子がいてね。その子もイジメられたって言ってたけど、周りが守ってくれたんだ。そして、ここに来る前に僕らと一緒に来ようとしていた。だから、僕はセラさんを守れるかと言えば…守れないかもしれない。でもね、僕らはセラさんを守る努力はするよ!一緒に行こう!。チャ子が僕らを慕うように、セラさんも僕らを慕っていいんだ。」と言うと、システィナがセラへと進み。
「セラさん…一緒に行きましょう」と声をかけると、そのそばにケイティとアリッサが来て、「セラッチ、行こうよ!」と大きな笑みを見せる。
その隣でアリッサも優しい笑みを見せた。
セラは母と父を見る。
セラの父親は何故か涙を流している。
「セラ…行ける?」と母親が聞くと小さくうつむく。
するとクラウトがセラの目の前に召喚石を出し、「これは、君しか扱えない…」と言うとセラに手渡す。
その召喚石を手にすると、アサトが黒く輝くロッドをセラの前に見せた。
「セラ…それは、わしのロッドじゃ…、それを持って行きなさい」と狐の老人。
その言葉に、セラは恐る恐るロッドを手にしてじっくりと見る。
「セラ?」と母親が声をかけると…。
「ウン、行く…、わたし…シスやケイ、アリッチらと行っていい?」と逆に聞いて来た。
その質問にセラの母親はセラを抱きしめると、「帰ってくるのよ…必ずね…」と言い涙を流し始めた、その姿に父親も2人を抱きしめる。
「ジェンス…」と狐の老人がジェンスを呼ぶ。
その言葉にジェンスが見ると、「お前はセラの兄かわりだ…」と言い、剣を指しだし、「お前も行くんだ!セラを守れ!」と言うと、ジェンスの父親と母親、そしてミーシャが降りて来た。
「それは、『夜の王』と戦える武器の一つ…お前に預ける、セラと共に旅をして、必ずわしに返すんじゃ」と言うと、ジェンスはその剣を見つめる。
その剣は、漆黒の刃に金の装飾が施されている剣であった。
「ジェンス…ちゃんとセラちゃんを守るのよ」とジェンスの母親が言葉にすると、「お前も、戦う事が出来る歳だ!俺が歩んだ道…、お前も歩みたいと言っていただろう…、俺はお前に何も教えてやれなかったが…」とジェンスの父親が、ジェンスの肩に手をあて言葉にした。
ジェンスの傍にクラウトが来て、「安心してください、『デルヘルム』には、最強と言われた男の弟子が2名、その内の一名はグラディエーターです。彼に剣の振り方を教えてもら得るようにします。今は、このアサトの修行を行ってもらいますので」とメガネのブリッジを上げて言葉にする。
「そうか…、とうとうお前も狩猟者になれるな……。」とジェンスの父親が言い笑顔を見せた。
その後ろで、「よかった…、それじゃ…あとは、あの二人に諦めさせなきゃね…」と言いながらミーシャが上に向かって進み始める。
一同もその後を追い始めると、「アサト君」と狐の老人が言葉をかけて来た。
その言葉に振り返る、すると………。
「よろしく…頼む…」と膝を折り、頭を深々に地面に当てて礼をしていた。
その姿を見て、「ハイ…必ず、お孫さんはお返しいたします!」と言うと、大きく腰を折り、頭を深々と落として礼をした。
その行動にアサト一行も一礼をする。
狐の老人は頭を上げると一行を見て、大きな笑顔を見せていた…。
ジェンスとセラが旅の準備をしている間に、アサトらは、ミーシャの言う”おバカさんら”を迎えに行くことになった。
タイロンとアリッサ、そして、システィナの3名は、この村に残り、アサトとクラウト、そして、ケイティとミーシャが、オーガの住む森へと馬車を進めた。
「…まったく…あのおバカさんたちは…」とミーシャは手綱を持ち、こめかみに小さな青筋を立て、眉を引きつらせながらじっと前だけを見つめていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます