第29話 最凶の召喚士を仲間に迎える 上
片付けが終わると、アサトとクラウト、そしてフレディの3人は、火を取り囲んでいる一同を見ながらエールを口にしていた。
アサトはジュースである。
その一同は、元気になったグンガとガリレオの話しに笑ったり怒ったり、そして、殴ったり蹴ったりして、とても愉快に騒がしくしていた。
その光景を見ていると、3人の後ろから、「それで…どちらのチームが、俺の愛娘を連れて行こうと思っているんだ。」と声がする。
その声の方を一同が見ると、そこには大きな樽型のコップを持った、セラの父親が立っていた。
フレディとクラウトが視線を合わせる、すると、そこに割り込むようにセラの父親が座る。
「あの子は…友達と言う友達は、ジェンスだけだ。」と言うとエールを飲む。
そして、「昔、近くの村でいじめにあってな…それいらいここから他には行きたがらないんだ」と言い、騒いでいる一同を見る。
「イジメですか…」とアサト。
その言葉に小さくうつむくセラの父、それを見て
「ぼくのしりあいにもいました。」と言うと、騒いでいる一同を見る。
そして…。
「チャ子って言うんですけどね、その子も昔はイジメられたって言ってました。でも、ちゃんと守って貰えたって言ってましたけど」と言うと
「守って貰えた?」とセラの父親。
その言葉に、「はい。なんか、大人げないような行動で守ったみたいですけど…」と言うと小さく笑う。
クラウト越しにセラの父親を見て、「今は、おおうでをはって『デルヘルム』を闊歩してます…なんて…」と言い、笑顔を見せた。
そして、視線をセラにむけると
「彼女を守れる仲間がいれば、彼女もちゃんと歩けると思います」と言葉にした。
「君が…うちの愛娘を連れて行きたいのか?」とアサトを見て言う。
その言葉に瞳を閉じて、「その話…なんでしょう?クラウトさん」と言うと、クラウトはメガネのブリッジをあげて、「フレディは、どう思う」と聞いた。
「俺のチームはお笑いチーム。グンガの性格だから彼女を欲しいと言うかもしれない…ただ…」と言うと、「彼女は、大きな戦力になる」と言い、セラの父親を見て、「セラさんのお母さんは…召喚の力は?」と聞くと、セラの父親は、遠目でセラを見ながら、「…残念だが無かった。じいさんの子供はあいつだけでな…。セラの上に3人の兄がいる、だが、彼らも力は無く、今ではじいさんの想いと共に北へと旅立っている。」
その言葉に「隔世遺伝ですか…」とクラウト。
隣にいるアサトが見ると、「隔世遺伝は、通常の遺伝よりも強いと言われている。参ったな…」と言い、アサトを見る。
「はっきり言おう、僕は、この旅…これからの旅に彼女が必要と思う。だが…歳が若すぎる…。」と言うと、
「セラは、じいさんも驚いていたが、かなり強い力を持っているようだ…、通常の召喚士なら召喚石を覗かなければ何がいるかわからないが…セラは、召喚石を覗かなくてもわかるようだ…」と言葉にすると
「今朝…それを僕らは見ました。」とクラウトが言う。
焚火を囲んでいる一同を見ているとミーシャが歩いて来た、そして、4人の前に立つと
「彼女の処遇を考えているのね?」と言い笑みを見せ、一度騒いでいる一同を見てから、直り、「彼女、いい子ね…」と言葉にした。
「私は、彼女の事を考えると…、ここに居る事が一番いいのかもしれないと思っている。でも…、それとなく彼女に聞いたら…、いつかはここを出てみたいと言っていたわ」と言い、アサトを見る。
「その時に私らやアサト君らがいればいいのだけどね…。」と言うと、振り返り背をむけ、「もし、どっちについて行ったらいいかって考えたら…行き当たりばったりの私達より、目的があるアサト君らの方が、親心としては安心できるんじゃないかな…」と言うと、アサトらを見て。
「クラウト…しっかりと説明しなきゃ…、それに、アサト君もね…」と言い笑みを見せながら振り返り、騒いでいる一同を見て進み始めた。
すると、セラがアサトらの方を見ていた。
その視線に向かって。
「今回は…すみません。クラウトさんに任せます。」と言うと、クラウトもセラの視線に気付いているようであり、その視線を見ながら
「フレディ…それでいいか?」と聞く、
「いいんじゃないか?うちはグンガとガリレオだけで精一杯だ、今朝のように朝から猛ダッシュしなきゃなんないしな…」と小さく笑いながら言う。
「それでは…お父さん。お母さんとおじいさんに…」とクラウトは言葉にした。
その言葉に大きく息をつきながら…。
「娘を嫁に出す気分てのがこんなに早くくるとはな…」と苦笑いを浮かべながら立ち上がり、セラの母親を呼びに向かった。
「アサト…君も同席を」と言うと、アサトも立ち上がって背伸びをして、「ハイ!」と答える。
そのアサトを見てから、「フレディ、お前とミーシャも…。お前たちがいない間にあったことをも教える」と言うと、「あぁ、俺はそれを聞きたかった」と言い、服の中から紙を出して、「ポッドさんから手紙をもらったんだが…何かいているか分からなかったから…」と苦笑いを見せた。
…そう言う事なんですね…。
と思っていると
「そう言えば、お前ら、なんかパイオニアに詳しかったな」と言う、その言葉にメガネのブリッジをあげると、服の中に手を入れて何かを出した。
クラウトが出したのは、銀の板。ギルド証である。
ギルド証をフレディに見せて。
「僕らもパイオニア所属の狩猟者パーティーだ」とクラウトが言うと、
「…なんだ、そうだったんだ…」と言い立ち上がり、「なんか…そんな感じはしていたよ、今日、お前らと行動してな…気づいていないのは、グンガとガリレオだけだな…でも、アサト君」とフレディ。
アサトはフレディを見ると、「あいつらは…すごい奴らだぜ」と踊っているグンガとガリレオを見て言葉にした。
その言葉に、アサトも2人へと視線を移した。
夜が明ける…少し前である…。
火がくすぶっている焚火の周りで寝ていたグンガはパチッと目を開けた。
そして、飛び起きると辺りを見渡す。
そこには、グンガと同じように寝ているガリレオとグラッパ、そして、タイロンにジェンスがいた。
少し考えると、何かを思い出したかのように準備運動をはじめる。
その音にガリレオが起き、準備運動を始めているグンガを見ると、眠い目をこすりながら立ち上がり、髪を立てて準備運動を始める。
「ガリレオ!今日こそぶっ飛ばす!」と言うと
「あぁ?俺がぶった切るんだよ!」と言い、お互いの顔を見て大きく笑顔を見せあった。
騒がしさにグラッパが起き上がり大きくあくびをすると、「グラッパ!そろそろ夜が明ける!行くぞ!」とグンガ。
「今日こそぶった切るからな」とガリレオ。
その会話に気付いてタイロンが目を覚まし、体操をしているグンガとガリレオをみてから、身支度をはじめているグラッパを見る。
と、そのそばに寝ていたジェンスが起きて「…なに?」と聞く、その言葉に……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます