第26話 錬金術師の弟子 下
タイロンらが来ると所持していた武器を預けて、工房の奥に進む。
ポドメアの話しでは、この奥に”ラボ”と言うところがあり、そこにいるのが、錬金術師の弟子、『ゲインツ』と言う事だ。
引きこもって何かをしているが、聞いても、「馬鹿にはわからない」としか言わない、頭に来る子のようである。
ポドメアの言う通り、工房の奥には扉があった。
その扉には、
『危険!ノックは必ず!ノック無しで入って来て、死んでも保証はしません!』
と書いてある張り紙があった。
と言うか、英語と言う文字で書かれてあり、クラウトが言葉にしたので一同がわかった。
そのドアをノックしようとした時に遠くから
「おぉぉぉぉぉぉぉ」。
「くおぉぉぉぉぉぉぉぉ」と、けたたましい声が聞こえて来た。
その声に「もう帰って来たの?」とミーシャが丘の方を見ると、小さな影が徐々に大きくなってきていた。
そして、「ミーシャ!治癒だ!治癒だ!」とガリレオが叫んでいる。
「あのワニ!今度会ったらぶっ飛ばす!」と言いながら、顔が血だらけのグンガの姿が見えて来た。
ミーシャはため息をつくと、2人に向かってロッドを唱える。
「神の手!」と、すると、グンガの血が止まったのであろう、ガリレオもどこかを切っていたのか、丘の中腹で止まると、お互いの体を確かめ合い…。
「よっしゃ!ワニ公ぶっ飛ばしに行くぞ!」とグンガ、その言葉に。
「ったく、あのワニ公、分身の術使いやがって!」とガリレオ。
「そうだな。あれ凄かったな。ブクブクと水面に泡立てたと思ったら、水の中からうじゃうじゃ出てきやがって!正体さえ分かれば俺の勝ちだったのに!」と地団駄を踏んだ。
その光景を見ている一同。
なにを話しているかわからないが、どうもグンガの様子は悔しがっているようである。
その二人に、「晩御飯までには帰ってくるんだよ!」とミーシャが叫ぶと、2人はこちらを見て手を上げると、「おおぉ!んじゃ、ちょっくらワニ公ぶっ飛ばしてくる!」と叫び、来た道を駆けあがり始めた。
「これで少しは静かになるは」と言い正面を見た。
「大丈夫なんですか?」」とシスティナ。
その言葉に、「大丈夫、危険とわかれば帰ってくるし、痛いと思えば帰ってくるから」と笑みを見せた。
「子供だな!」とタイロン。
「そう、わたしにとっては、そっちの方がしっくりくるわね」とミーシャは何故かニコニコとした。
クラウトはミーシャを見てから、その扉をノックする。と、なにも返答が無い。
再びノックする…が、なにも返答が無い。
そして、またノックする……。
間を置いてから振り返り一同を見ると、小さくうつむいて戻り、またノックする。
と、ゆっくり扉が開き、片目だけでこちらを見ていた。
「ゲインツ…さん?」とクラウト、その言葉に、クラウトを上から下まで見ると、ゆっくり扉を閉めた。
一同はその光景を見ている。
扉が閉まると、メガネのブリッジを上げて振り返り、ちいさくうつむくと、再び戻ってノックをした。
すると、扉がゆっくり開くと、片目だけを見せてこちらを見ている。
「あ…僕たちは…」と言うと、扉をゆっくりしめた。と思っていたら…。
ケイティがいそいそと先頭に立ち、深呼吸をすると大きく息を吸い、2、3歩下がると、「っちぇぇぇぇぇぇぇぇぇスト!」と掛け声をあげながら、助走をつけ、扉に向かって飛び蹴りをした。
扉が壊れる音と共に、ケイティと扉が中へと押し倒される。
その先には、真っ暗な中にその者が椅子に膝を抱えてこちらを見ていた。
部屋の中は真っ暗であり、箱のような物が何個かあって、その箱のひと面は明るく光っていた。
「うわぁ!なにこの部屋…」とケイティ。
その言葉に、「暴力…貧乳…ちりじり赤毛…」と小さく言葉にする。
「あぁ?今、なにか言ってはいけない事をぼそっと聞こえないように言ったでしょう!」と言葉にして、その者に進もうとした時。
「ケイティさん、気を静めて」とシスティナに止められた。
その姿を見て、「優しい…巨乳…ボンキュ…ボン」とまた言葉にする。
その言葉に、「このガキ!なんかむかつく…」とケイティ。
ケイティを止めていたシスティナが頬を赤らめていた。
クラウトが中に入って、光っている面を覗き込む。
その後ろからフレディも入り、同じく覗き込んだ。
面には、英語といわれる文字がしきりに動き、そして、図形のような物が形作られている。
カシャカシャと奇妙な音もしている。
ピーピーと言う音も聞こえる…とにかく、一同には聞いた事のない音が部屋中に響いていた。
「…これは?」とアサト。
その者の傍に来て聞くと、「触るな危険!」と言い、器用に体を使って、椅子を回して背をむけると、机にある光っている面を見ながら、その面のしたにある突起物を打ち始めた。
「聞きたい事がある」とクラウト、「教えたい事は無い」とそのモノ。
「教えても理解できない…おまえら…みんなバカ!」と言う。
その言葉にケイティがツカツカと進み、モノの後ろに立つと握り拳を小さく、そして力を込めて挙げると…。
「ガキが!」とその頭部を殴打した。
その勢いに、モノは椅子から転げおちると近くにあった物にぶつかり動かなくなった。
その姿を見てクラウトはメガネのブリッジを上げて見ている。
横になっているそのモノにミーシャが膝を折ってしゃがみ、「大丈夫?」と声を駆ける。
その声に小さく反応をするとゆっくり体を起こし、下を見たままミーシャに抱き着くと、ミーシャの胸に顔を押し当て、「ふっくら…柔らか…巨乳は正義。」と言いながらミーシャの胸を揉むと…。
「巨乳とは言えないけど…貧乳よりいい…」と言いケイティを見て…。
「貧乳は…悪」と言葉にする。
その言葉に、「あぁ?この根暗エロサルが!」と怒りを見せる。
「今…なんて言ったの?」とミーシャ。
その言葉に胸を揉みながら、「巨乳じゃないけど…」と言う。
ミーシャはそのモノを体から離して襟首を持つと…。
「もう一度言ってごらんなさい!」と言いながら平手打ちをする。
「巨乳じゃ…ない…」
「巨乳じゃないけど?」とミーシャ。
「貧乳でも…ない…」
「それで?」とミーシャ。
その言葉に、「ちょうど…いい。」とモノが言葉にする。
その言葉に、「まぁ!分かっているじゃない。そうよ、このサイズが一番いいの!」と言って抱き寄せた。
…ってか、今回、このパターン多くないっすか?…。
「君は、錬金術師の弟子みたいだね」とクラウトが聞くと、「あぁ…エイアイさんね。」と、机にある薄い面を見ながら下にある突起物を押している。
「エイアイさん?」とアサト。
「うん。師匠。と言うか、先生って言ってた。」と言うと振り返り、アサトの後ろの面を見てから、振り返り面を見て突起物を打ちだす。
「…なにをしているの?」とミーシャ。
「教えても分からない…。みんなバカだから…」と言う。
その言葉にミーシャが平手で頭をひっぱたいた。
「課題…」とモノが言うと。
「課題?」とフレディが聞き返す。
すると、その者は器用に椅子を回して一同に向くと……。
「そう、エイアイさんの課題。人工衛星を探している」と言葉にした。
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