第24話 その考えこそ…強き者の考え…。 下
「ぬしが、生きる道をみつける旅をするなら、これから先は、もっと強くならなくてはならぬ。…強くなりたいか?」と聞く、「ハイ、でも『強い』の意味がわかりません、今、こうして生きている。でも、強いから生きているって思ってません。僕は…強いより、はっきり言って弱いです。たぶん…、ここにいるだれよりも…でも、それでも旅は出来るんです。弱いから旅は出来ない。強いから出来る…。強いから…って、なにが強いから…出来るんですか…。強いの定義は、人それぞれじゃないんですか…僕はそう思っています。だから…旅をするんです、そして、色々見て、聞いて、知りたいんです。その先に何があるかわかりませんが、決まった答えは無いと思ってます…。」と返すと。
「…歳は取りたくないものじゃ…」と言い、パイプを吸い、煙を吐き出して、
「強いの意味がわからない、自分は弱い…。人それぞれか…。妙に気になる言葉だけを並べるな…。そう言われれば…そうかも知れぬな…、その旅にぬしの道が見つけ出されることを願うよ…。」と言うとパイプを銜えた。
アサトは、銀狐の老人に一礼をすると階段へと進み始めた。
老人はその姿を横目で見送ると、「…わしらは間違っていたのかもな…、強いと言う意味がわからぬものが…本当に強い者なのかもな……。頭の中は、固くしてイケなかったのかもな…」と小さく、消えて行く煙を見ながら言葉にした。
セラの家の地下室から出て、外に出ると、ここに住んでいる者らと思われる一団が塊となって、門の方向を見ていた。
その方向を見ようと思った時に、アサトら一行の先頭にいたミーシャが、「…あの…おばかさんたちは…」と小さく声を上げ始めた。
それを見てから門を見ると、2体のイモゴリラに向かって戦いを挑んでいる2人の形が見えた。
「あっ、」とアサト。
「ッチ」とクラウトが舌打ちをしている。
「ゴリラぁぁぁぁぁぶっとばぁぁぁぁす!」と叫んで飛び込むが、叩かれ、殴られ、振り回されて…。とテンで勝てそうな雰囲気ではない。
「ごりぃらぁぁぁぁぁぁぁぶったぎぃぃぃぃる!」と叫んで飛び込むが、叩かれ、殴られ、振り回されて…。と、こちらもテンで勝てそうな雰囲気ではなかった。
「セラ…ちゃん?あのゴリラさん達に伝えられる?」とセラを呼ぶミーシャ。
その言葉にセラがそばに行くと…。
「ゴリラさんたちに…あの2人、どっか遠くまで飛ばしてかまわないからって伝えてくれる?」と笑みを見せて言う。
その言葉に一度目を見開いてミーシャを見ると、「死んじゃうかも…」と返した。
「大丈夫よ…おねぇさんが責任持つから…思いっきり飛ばして!と伝えて!」と再び笑顔で言う。
その言葉を聞くとクラウトを見る。
クラウトはメガネのブリッジを上げると、小さく頷いた。
その行動を確認すると、体勢を倒しながら駆け出し、少し進むと手と足を器用に使って走り出していた。
「これは…驚いた…」とクラウト、「あれじゃ、狐と同じだろう」とタイロンが言う。
「知らなかったの?」とミーシャが振り返り。
「母親が獣人の亜人なら、その血を受け継ぐ強さがあるの。彼女は、手と足を使って走る特性を受け継いだのね」と言い、グンガたちを見ると。
「あっ、とりあえず!」と言い、ロッドを2人に向けて「5層の防御!」と言葉を発した。
向けられたロッドから光がグンガらに向かって進み、そして、1層、2層、3層…と光が纏わる、5層にわたった光がまとわったと思ったら…。
「ほっげぇぇぇぇぇぇぇ」。
「わわわわわわ……、げぇぇぇぇぇぇぇぇ」と悲鳴を残して。
2体のイモゴリラに、2人が丘の向こうまで投げられた。
…って言うか…。
「さて…終わり。面倒なのはいなくなったから…」と言うと、グンガらを見ていた一団から、背の小さく髪をツインテールにしている小太りの女性が向って歩いて来た。
ポドメアだと思う。
「…おぉ?お前らか?あの面白コンビの仲間は?」と言葉にして近づいて来た。
アサトは一行の前に出ると、「ポドメアさん?」と言葉をかける。
ポドメアと思わしき女性がその場で立ち止まり。
「あぁ…ダメダメ。ポドちゃんには、もう愛しの人がいるの…、ぼくちゃん可愛いけど…、ダメダメね!」と腰を横に振りながら返してきた。
ってか…ポドちゃんって…。
「あっ…いやぁ~」と言葉にすると、「ちょっとぼくちゃん!それ!」と言うと駆けだしてきて、アサトの前に立ち、腰にある太刀を指さして。
「もしかして…ナガミチさんの?」と言葉にした。
その言葉に小さく頷くと「それ…妖刀?」と聞いてくる。
「え?…いや…、違います。」と言葉にする。
その言葉に、「…そっか…。」と言いながら一同を見て、「ポドのおじさんから連絡貰っていたよ、ここによったらよろしくって。あなた達は…チームアサトね。それで、ぼくちゃんがアサト君ね」と言い、大きく笑顔を見せた。
その言葉にアサトも笑みを見せて、「そうですか、ポッドさんから…、はい。僕がチームアサト、リーダーのアサトです」と言うと、ポドメアはもう一度、今度は数を数えているように、首を縦に動かしながら一同を見て、「…8…9…10?、…おじさんの話は4人っていってたけど…、すごく仲間を増やしたのね…」と言葉にする。
「いえ、すみません」と長い髪を耳に掛けながらフレディがアサトに並び。
「僕は、お笑いチーム、グンガと愉快な仲間達、参謀のフレディ。」と言うと、ミーシャを刺して、「彼女が、仲間のミーシャ、そして…」とグラッパをさして、「あのもっさりしているのがグラッパ」と紹介すると、近くにいたレディGの傍に来て指を差し、「この貧乳か巨乳か…判断つきづらい胸を持っているのがレディG」とニカっと笑って言葉にすると、レディGは、少し引きつりながら…、フレディのみぞおちに肘鉄をくらわし、大きく笑みを見せて手を挙げた。
「そして…」とミーシャ。
「さっき飛んで行ったハチマキおバカが、このチームのリーダーグンガで、モヒカンおバカがその相棒のガリレオ。よろしくお願いしますね。」と言うと、その紹介に。
「もう…おバカって…。ホンと面白いね…、面白チーム。グンガと愉快な仲間達ね…。がははははは…」と言いながら爆笑を始めた。
そして、クラウトを見て「残ったのが、アサト君の仲間ね」と言うと、「あたしケイティ。」とケイティが手を上げる。
そして、アリッサのそばに行き、「このグラマラスなのがアリッチ」と言葉にすると、すぐさまシスティナの傍に来て、「シスだよ、おっぱいおっきいんだ!」と言う。
その言葉にほほを赤らめて胸を隠すシスティナ、そのシスティナを見てアサトも頬を赤らめて目をそらした。
ケイティはタイロンのそばに行くと、「でっかいでしょう?ジャンボだよ。」と紹介すると、クラウトがメガネのブリッジを上げ、「僕はクラウト、このチームの参謀をしている」と言葉にした。
ケイティはクラウトの傍に来て。
「くそ!むっつりメガネめ!グンガと愉快な仲間達の方が印象デカいじゃない!」と言うと、小さく唇を尖らせた。
「むっつりメガネ…って、それも面白いよ、ケイティ。」とポドメアが言葉をかけると、アサトを見て「太刀…見せて見な!」と言葉にした。
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