第18話 いざ!鍛冶屋の村『カオス』へ… 下
大きな…高さ100メートル程ある岩山が3個あり、その下に小さく家が数軒建っているのが見えた。
メガネのブリッジを上げて、「…村?なのか?」と聞くと、「レンガで囲われているけど…村と言う村じゃない。セラの家族と俺の家族…そして、鍛冶屋の家族が住んでいる…鍛冶屋は、夫婦と居候なんだけど…」と言葉にした。
「…そうか…」とクラウト、その家があるところからは小さく、そして細く煙が立っているのが見えた。
「…鍛冶屋の煙か?」と聞くと、ジェンスは頷き。
「俺たちの家は、3家族とも鍛冶屋で生計を立てているんだ」と言葉にした。
その言葉に目を細めながら「鍛冶屋…か…」と言い、顎に手を当てると何かを考えている。
そして、アサトを見る。
その視線にアサトは立ち上がると、馬車へと向かって行き、「…君らの家に、僕らを招待してくれる?」とセラに聞く。
その言葉に視線をアサトにむけると、その向こうにいるグンガに向け、目を細めてから、ジェンスを見た。
「…俺の家は構わないけどね、セラの家も…多分大丈夫だと思うけど…セラの親父さん怖いからな…どうかな…」と肩をすくめる。
それを見てからクラウトに視線を移すと、「婿…、家族に会わせてもいい」と言葉にする。
「…」無言で見ているクラウト。
そのクラウトを見て、「…婿、家族に会わせてもいい…」ともう一度言う。
その言葉を無言で聞いているクラウト。
その眼を見て…、「…婿になるならいい」と言うと、「ならん!」とクラウト。
まぁまぁ…。
「だが、君の家族に興味がある。」と言葉にした。
その言葉に「婿になるならいい」とセラ、その言葉に「ならん!」とクラウト。
「…んんんんんんんんん」と往生際の悪い唸り声をあげていると。
「セラさん、お願い。私たちを招待して」とシスティナが言葉をかけた、その後ろでアリッサが微笑んでいる、すると、肩の力を緩めて。
「…大丈夫。来ても…」と言葉にした。
その言葉に、「それじゃ、お言葉にあまえましょうか」と、アサトがクラウトを見て言うと、クラウトはメガネを上げながら頷き、食事をしているグンガらの方向を向いて、「それじゃ、ここで…」と言うと、すぐそばにグンガとガリレオが、パンとソーセージ、卵料理を山盛りに乗せた皿を抱えるように持ってクラウトを見ていた。
「…?俺たちはあそこに行くから…お前たちとはここで…」と言うと、「あぁ?何言ってんだ?俺たちも行くに決まってんじゃねぇ~~か」とグンガ。
その隣で、ガリレオが頬を膨らませながら頷いている。
その後ろにケイティも同じ格好でいた。
「…そうね。私たちもやる事無いから…一緒に行ってあげる」とミーシャが言うと、「さぁ~片づけて、女子は馬車に乗ってぇ!男は歩きよ!」と言い、テーブルへと向かった。
何故か、その号令にみんなが動き出す。
グンガとガリレオとケイティは、そのまま家の集落のある方へと、皿に盛ったパンとソーセージ、卵料理を食べながら向かい始めた。
一同を見てクラウトがおでこに手を当てて小さくうつむいている。
「そう言う事だ。諦めろ」とフレディが言葉にすると、グンガたちの後を追うように見せかけて、馬車へと乗り込んだ。
一通り片付けると、ミーシャが馬車に乗る…そして…お決まりのように…。
「アへぇぇぇぇぇ…」と言う、面白い悲鳴を上げながら、フレディが飛ばされて外に出ると転がった。
数回転がると立ち上がり、髪を耳にかけて、「…さぁ行こうか!」とこちらを見て言葉にする。
「タイロンさん!手綱お願い。ケイちゃんいなくなったから…」と笑顔でタイロンを呼ぶミーシャ…。
その言葉に、恨めしそうな目でタイロンを見ているフレディ。
タイロンは、少し申し訳なさそうに馬車に乗ると馬を進め始めた。
丘を500mほど降りて行くと、レンガに囲われている場所がはっきりと見えてくる。
小さい家が3軒、そして、掘っ建て小屋みたいなのが1軒あり、その掘っ建て小屋からは細い煙が上がっている。
鍛治打ちしている音が聞こえて来た。
テンポがよく、小気味いい音とリズムがその場所をのどかに感じさせている。
門がありそうだ、と言うか…入り口。
その手前には、白い毛に覆われているゴリラが2体立っていた。
そのゴリラに対峙しているグンガとガリレオ…、そしてケイティの後ろ姿が見えた…と思った瞬間!グンガが飛ばされた。
それを笑って見ているガリレオ…剣を構えた…と思った瞬間!ガリレオも飛ばされた!。
コロコロと転がったと思ったら、すくっと立ち上がり、何か叫んでるグンガ!。
ケイティにも何やら叫んでいた。
そして、また突っ込むが…飛ばされている!。
今度はガリレオ…。
ガリレオもケイティに何やら叫んでいると…。
「っちぇぇぇぇぇぇぇスト!」と言う掛け声と共に、腹か股間かわからないが蹴り上げられて、その場に蹲った。
それを爆笑しているグンガだったが…。
「ぎっやぁぁぁぁぁぁ」と言う悲鳴を上げて逃げ始める。と言うか…。
ケイティが追いかけ始めた…なんか…どんな会話していたか想像がつく。
「じっちゃんのイモゴリラには勝てないよ」と、ジェンスが笑みを見せながら言葉にした。
「じっちゃん?」とクラウト、その言葉に頷き。
「セラのじっちゃんは…ほんと凄い人だよ」といい、ニカっと笑みを見せた。
「召喚士か?」とクラウト。
その言葉に小さく頷くと、馬車からセラが飛び降りて来てクラウトの脇に立った。
そして、腕を抱えるように掴むと…。
「婿殿…心の準備は出来たか?」と上目使いで言葉にする。
その言葉にメガネのブリッジを上げ、「…なんの心の準備かわからないな!」と言うと、「そう言っているのも今のうちよ…」と不敵な笑みを見せた。
門の前に着くと、体長2メートル程の白毛のゴリラが一行を見ている。
馬車は門から入れないから、門の脇に駐車させる。
セラがイモゴリラに命令を出して座らせると門を通る。
少し行くと、3軒ある家の真ん中の家に着き、そこから直角に左右に道があった。
その右側の道を行くとセラの家のようである。
セラが何かに気付いたのだろう。
クラウトの腕を離して走り出すと、前のめりに倒れて手と足を使って走り出し、その先にいた女性にむかって。
「おかあさん!ただいま!」と叫びながら飛び着いた、そのセラを抱きしめた女性は…狐の顔を持つ獣人の亜人である。
一行は立ち止まってその姿を見た。
「…セラちゃんのお母さんが…亜人だったとは…」とミーシャが言葉にすると、メガネを上げて、「あぁ、僕も驚いた…」とクラウトが言う。
その隣で、「これは…もしかして…」とフレディが言葉にすると、前が止まったのが気になったのか、後方を進んでいたグンガとガリレオが前に出てきてその光景を見ると!
「…うおぉぉぉぉぉ来た来た来た来た!!!プラチナボイン!」とガリレオが雄叫びを上げたと思ったら。
「やっと会えた…プラチナボイン!」と大粒の涙を流し始めた、それを見ていたケイティが…小さくため息をついて肩を落としていた。
その意味は…なんとなく解るような…。
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