第17話 いざ!鍛冶屋の村『カオス』へ… 上

 「かぁ~~つかれたぁぁぁぁぁ」と大きく手を広げたグンガが横になると、「おっもしろ~~かったぁぁぁぁぁ」とその横にガリレオが寝転がった。

 そのそばに盾持ちの男が盾を頬り投げて大の字をかいた。


 ここは、アサトらが野営をしていた小高い丘である。

 馬車が先についていて、朝食の残りをテーブルをだして準備を始めていた。

 グンガらが横になってからしばらくして、ジェンス、フレディ…そしてクラウトとタイロンが着く、その後に後方を確認しながらアサトが着いた。


 「ってか、かなり飛ばされたなグンガ!」とガリレオ。

 「そっか?そんな飛んだかぁ?」とグンガ。

 「グラッパ…いい運動になったろう?」とグンガが聞くと、グラッパ…盾持ち戦士だろう…、その男が苦笑いを浮かべた。

 「…毎日走っていても…おまえ少しも痩せないな!」とガリレオが起き上がりグラッパの腹に拳を降ろすと、グラッパは「うはぁ!」と小さな声を上げて咳き込み、そして、再び苦笑いを浮かべて見せた。


 丘に上りきったアサトは、辺りを見渡し。

 追撃がない事を確認すると、馬車近くで食事の準備をしている、システィナ、アリッサとケイティを見てからミーシャにレディGとセラ…そしてジェンス、タイロン、クラウトとフレディを見るとグンガらを見下ろした。


 …この人が…グンガさん…


 「んで?」とグンガが起き上がるとクラウトを見る。

 「ジェームスやシリウスらはどうした?」とグンガが言うと、グラッパは起き上がり、ガリレオと一緒にクラウトを見た。

 その行動を見たクラウトはメガネを上げる、と「…そっか…死んだか…」とグンガ。

 「誰にやられた?」とガリレオが言うと、「…ガリレオ、やめろ!」とフレディが髪を耳に掛けながら言葉にする。


 ガリレオの隣で、「そうだ。それは聞くな、いなくなった者の事をきいても、帰ってこないからな。これからの事だけ考えればいい」とグンガが言うと立ち上がって背伸びをした。

 そのグンガに向かって、俯きながら、「すまないな…」とクラウトが小さく言葉にした。


 …と思ったら、「あぁ~~飯だ!飯だ!」と飛び跳ねると、グンガが馬車へと駆け出す。

 その姿を見て、「あっ、待て!グンガ!」とガリレオが飛びながら立ち上がると駆け出して行く、その後ろ姿をみながらグラッパがゆっくり、そして、もっさりと立ち上がり進み始めると、アサトの傍で立ち止まり、低い声で「…ごめんね…食べさせてもらうよ…」とゆっくり、そして、もっさりと声をかけて来た。


 その言葉に笑顔で頷く、それを見ると、もっさりと馬車へと向かった。

 その後ろ姿を見てからクラウトを見ると、2人…フレディと何やら話をしながら馬車の方へと歩き始めていた、アサトも小さく息を吐くと馬車の方へと進んだ。


 席に着いたグンガとガリレオはとにかく忙しい、目の前にあるモノを口の中に掻きこんでいる。

 そのそばで、何故かケイティとジェンスも我先にと言う感じで、口の中に食べ物を放り込んでいた。


 …まるで…戦争…みたいな感じだね…。


 セラのフードの中の顔を見ようと、ミーシャが追いかけているのが見えた。

 セラは小走りに逃げている、右に逃げたり左に逃げたり…していると、観念したのか立ち止まって、フードを目深にした。

 そのフードを覗き込むミーシャ、すると…。


 「…あら?もしかして…」とミーシャが声を上げると、目じりを下げて。

 「…あなた…ね…」と言う。

 その言葉に一同が2人を見た。


 「…なんの合いの子?教えて!教えて!」と言いながら、フードに手をかけて脱がそうとしていた。

 フードをがっしりと掴んでいるセラ、そのセラに、「…お願い…おねぇさんに見せて。」と優しく声をかけると、小さく震えながらフードを外し始めた。


 そこには……


 肩まで伸びている銀色の髪にまっすぐに伸びた耳、そして、細い髭が何本か生え、コロンとした瞳だが、少し恥ずかしそうに斜め下を見ている…少女が現れた。

 それを見たミーシャが一段と目尻を下げて…。

 「あら…珍しい…銀髪の狐…」と言うと、フレディとクラウトも見た。


 その少女を見たクラウトがメガネを上げて、「…これは、とんでもないモノに出会った」と言うと、隣で「あぁ…、同感だ」とフレディが目を細くして少女…セラを見ていた。


 その表情を見て「…なにか…あるんですか?」とアサトが聞くと、2人同時に頷いた。


 …と、右手にパン、左手にソーセージを持ち、食べながらグンガがセラの前に進み、しゃがみ込んでセラを見る。

 その行動に視線を外すセラ。

 視線を合わせようとしているグンガ、そして、合わせないようにしているセラ…なんどか、右、左としていると、急に後ろを見たセラ。


 すると「っけ!」とグンガ。

 そのグンガに向かってミーシャがロッドを力強く振り下ろすと、「ガァ!」と言いながら、手にしていたパンとソーセージを手放して頭を抱えた。


 「いってぇ~なぁ~~」と言いながら涙目でミーシャを見ると、目じりを下げて 「嫌がっているじゃない……」と微笑む。

 その笑みを見て、「っけ!狐か!」と言うと、落ちた食べ物を拾い上げ、食べながら席に戻る。


 その席にいたガリレオも両手にパンとソーセージを手にしながら、「…ったく、貧乳は悪だから」と言うと、そばにいたケイティが、その言葉に反応して…。

 「っちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇすと!」と、掛け声を上げながら、向かいに座っていたガリレオの頬に拳をお見舞いしていた。

 それを座ろうとしていたグンガが、目の前で目撃すると口に入れていた食べ物を吐き出しながら、腹を抱えて、「…ぎゃはははははは…、貧乳にボコられた!」と爆笑を始めると…。


 「っちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇすと!!」と、再び掛け声を上げながら、今度はグンガの頬に拳を繰り出し、ゆっくりと席に着き、食事を再開した。

 なぐられた二人は、地面に倒れ込むとゆっくり、這いつくばりながら席に戻り、再び、無言で食事をはじめた。


 ミーシャは二人を見てため息をつく。

 セラの傍にシスティナとアリッサが近付いて笑みを見せる。

 クラウトはセラを見ながら顎に手を当てて何かを考えている。

 アサトは、食事を食べはしないがテーブルにある席に座るとセラたちを見た。

 タイロンもアサトの向かいに座る。


 ジェンスがクラウトの傍に来ると、「…ところで、君たちは何処から来たんだ?」と聞いた、すると、「あそこ…」と指を指す。


 その方向には…。

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