第15話 グンガとガリレオ。そして、時々オーガ 上
フレディが盾持ちの男の前に立つと、汗を拭きながら、眉の尻を下げて息を整えている盾持ちが大きく息を吐き出した。
その姿にフレディが肩に手を当て、何度かトントンして労うと、剣士へと向かった。
アサトとジェンスが到着すると盾持ちの男の近くで止まり、その者を見る、すると、もっさりとした男は小さく手を挙げ、大の字をかいて横になった。
時間をおかずに馬車が止まる、その横を歩いていたタイロンとクラウト。
クラウトはアサトらの傍に来て、盾持ちの男を見てからグンガに視線を向け、タイロンはミーシャから馬の手綱を受け取った。
馬車から下りたミーシャは、「着いたわよ。降りてきて」と馬車に声をかけてからフレディの傍に進むと、グンガが気付いて振り返り、「なんだミーシャか、遅かったな」と言うと、フレディを見てから、クラウトを見る、そして、「クラウトか…」と言うと視線をオーガに移した。
え?…それだけ?。
「…お前ら遅いぞ」と剣士が言うと。
「そうだ!もう少しでこいつをぶっ飛ばすところが見れなかったんだぞ。」と言い前に進み出る、「ったく、面倒な事させやがって…」と言うと、ひと際大きい…3メートル以上あると思われるオーガが、その隣にいるオーガに何やら話した。
その隣にいるオーガが、「お前…めんどくさい」と言う。
「え?」とアサト、その隣にいたクラウトも目を細めてそのオーガを見た。
アサトはクラウトを見て、「あのオーガ…話せるみたいですね」と言うと、「…そうみたいだ…」と言葉にする。
その言葉を聞いたミーシャが振り返り、「あのオーガ、よく見るとイィ・ドゥなの。お母さんがオーガでお父さんが人間みたいよ。お父さんが言葉教えてくれたみたい」と言うと、グンガが振り返り、アサトを見て、「…だれだ…おめぇ?」と言い、目を細めると…。
振り返り、「…まっ、いいや」と言葉にした。
…え?…それだけ?
オーガの奥には小さな洞穴があった。
たぶんそこを根城にしているようだ。ってか
…『オーガプリンス』って間違って覚えていても…この場所見たら…そう思う根拠が無いでしょ…。
「とにかく!俺は、お前をぶっ飛ばす!」と、グンガがひと際大きなオーガに向けて指を指した。
その言葉を通訳しているオーガ、すると、何やら話して、「…なんの目的なんだ」と言う。
その言葉を聞いたフレディが、髪を耳に掛けながら前に進み出て、「昨日も言ったが、お前たちに討伐の依頼が出ている、だから、お前たちを狩りに来た!」と言うと、また、通訳を始める。
それを見ていたグンガが、「…なぁ…いつもそうだけど…それ面倒なんだよな…何してんだ?」と言葉にする、その後ろで、「馬鹿か?あれは作戦を練っているんだよ!」と剣士が言うと、「違うわ、通訳よ!」とミーシャが言葉にした。
アサトの傍にアリッサとケイティ、セラ、そしてシスティナが来て状況を見た。
すると、グンガがまた振り返る、それを見て剣士が振り返り、女子4名を見ると向き直った、と思ったらまた振り返って4名の女子を見た。
え?…なに今の2度見?。
「…な…なんだよ…やけに今日は…ギャラリーが…多いじゃねぇ~か…」とちょっともぞもぞしながら、言葉にするとまた振り返り、そして、戻った。
「討伐される意味がわからない、俺たちは…なにもしていないし…する気も無い…と言ってる」と通訳オーガが言う。
その言葉にグンガが頭を項垂れると、「…あぁ…それ、前も聞いた。…なんか、意味わからないけど…」と言うと頭を上げて、「…とにかく、お前をぶっ飛ばすんだ!」と言い、握りこぶしを向けた。
その言葉を通訳する、それを見て、「…だから…、調子が崩れるんだって…」と漏らすグンガ。
巨大オーガが頷くと顎に手を当てて何かを考えてから、通訳オーガに話すと、通訳オーガは頷きグンガを見て、「…わかった。相手をする…と言ってる」と言うと、グンガの動きが途端にキビキビとし、準備体操を始めた。
そして構えると、「…さぁ…おっぱじめようぜ!」と言葉にして、ニカっと笑みを見せた。
その光景を見たフレディとミーシャが戻って来て、「…やっとだ、…」と言うと、その場を離れた。
その行動に首を傾げながら追随するアサト一同。
ミーシャがタイロンの傍に来て、「馬車…方向転換させといて、すぐに終わると思うから…」と言うと、小さく微笑み、「女子は馬車から見てましょう」と言い馬車に乗り始めた。
アリッサがアサトを見る、その視線にアサトは小さく頷くと、ケイティ、システィナ、そしてサラに言葉をかけて馬車に向かった。
すると、剣士がアサトの傍に来て、「…おい!あの金髪ボイン…お前のなんだ?」と聞いて来た。
「え?金髪…ボインって…アリッサさんの事?」と聞くと、顎に手を当てて、「アリッサって言うのか…んで、お前との関係は?」と聞き返す。
その言葉に「あ…な…仲間です」と言うと、「やったのか?」と聞く。
「や…やったって…」としどろもどろに答えると、「だから!セックス!したの…」と言った瞬間に剣士の頭をフレディが殴り。
「…チェリーボーイにそんな事聞くな!」と言い、腕をつかんで引っ張って行った。
…チェリーボーイって…。
と思っていると。
「オーガ!行くぞー!!!!」と声が聞こえる、グンガだ。
グンガは腰を降ろすと力を込めて、「ん…………う…………あぁぁぁぁぁぁぁ」と雄叫びを上げながら巨大オーガに突っ込んでゆく、そして…。
ゴォ…ダー~~~と大きな音と共にグンガが飛ばされた。
と言うか…、巨大オーガの拳を体で受けて、さっきまでいた場所…よりも後ろ…というか、拓けた場所よりも向こうの木々が生い茂る場所まで飛ばされた。
と言うか…人間て…あんなに飛ぶんだ!と思ったが、咄嗟に、「…グンガさん!」と叫ぶ。
グンガ一行とアサト一行が、目を見開いてその行方へを追った。
と思っていると、「あはははははは…ぶっ飛ばされやがった!」と剣士の男が腹を抱えながら爆笑を始めた。
その声に盾持ちの男が起き上がり頭を掻いている。
「ちょうおもしれ~~、新記録じゃねぇ?」と言いながら、グンガが飛ばされた方向を見ている。
「…クラウトさん…」とアサト、クラウトは目を閉じて小さくため息をついた。
「はぁ~~はぁ~~~、はぁ~~おもしろかった」と言い剣士が背中から剣を外すと馬車を見てから、オーガに視線を移した。
「よぉ~~し!今度は俺が相手だ!」と言い進み始めると、森の中から、「ガリレオ!待て!おれはまだ…参ったしてねぇ~~」と言いながら、ふらふらしてグンガが出て来た…。
と思ったら、「キャ」っと、システィナの声が聞こえる。
その方向を見ると、ため息をつきながらミーシャが馬車から下りて来た。
「…血!出てるよ!」とケイティが指を指していた。
アサトらはその方向を見ると…、グンガの背中が擦り傷やら裂け傷だらけであり、その傷口からとめどなく血があふれ出していた。
「クラウトさん!」とアサト。
「…もう少しこのままにしておきましょう」とミーシャが、ニヤニヤしながら言葉にして近づいて来た。
その言葉に「…でも…死んじゃいますよ…」とアサト。
「…その時はその時よ。でも、彼を止めるには、血を出させてへなへなにしなきゃ…」と言いながら右手に持っているロッドの柄を、左手の掌の上に上下させてにやけていた。
…この人…なんか、怖い…。
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