第14話 最凶の召喚士とグンガと愉快な仲間達ら 下

 「召喚士?」とクラウトがセラの傍に来ると、セラはクラウトを見上げながら「そうだ、どうした婿。」と言葉にした。


 …ってか、婿って?


 「…いや、婿ではない。」とクラウト、その言葉に「いや、お前は、この『』の婿になって、最強で最凶な召喚士になる子供を作らなければならない宿命なんだ」と言うと、テーブルにあるフルーツを手にした。


 ってか…え?


 クラウトはメガネのブリッジを上げながら「とりあえず、断るが…」と言うと、「断る事を…断る。」とセラ。

 そのセラを見下ろしてから、一つため息をつくと馬車に行き、何やら手にして戻って来た、そして、「…見えるか?」とセラの目の前のテーブルに置く。


 「お?それ召喚石か?」とフレディが言うと、「…へぇはじめて」と、レディGが言葉にした。

 ミーシャは、その召喚石を手にすると中を覗き込む、そして、「見える…。」と重く言葉にした。

 その言葉に、一同が目を丸くしてミーシャを見る。

 ミーシャは眉間に皺をよせてその召喚石を凝視していた。


 その表情を見て、クラウトが目を細め、「…何が見える」と聞くと、「…うぅ~~そうね…」と言う、その言葉に、「…グンガがどっか遠くまで飛ばされろ…って感じなんだろう」と言うと、唇を尖らせながら、「…まったく、ほんとあんな人どっか飛ばされて3回くらい回って、普通になって帰って来てくれないかな…」と言いながらフレディに渡した。


 手にしたフレディは覗き込み、首を振って、レディGに渡す、レディGも見るが、「見えん!」と言いテーブルにおいた。


 すると「オークだ。」とセラが言葉にする。


 その言葉に、「え?覗かなくても分かるの?」とアサトが聞くと、「あぁ…、感じるんだよ。この中にはオークがいる。それも、普通のオークじゃない。マモノになったオークが…」と言い、手にしたキウィを皮ごと齧りながら、その石を見つめた。

 

 「本物だな」とタイロン。

 「これ…どこから?」とミーシャが聞いて来た。

 クラウトは召喚石を手にして、「この中にいるのは『オークプリンス』」と言うと、フレディが前のめりになって、「プリンスって…あれか?『ゲルヘルム』の?」と聞いて来た。

 その言葉に小さく頷く。

 その行動に、「へぇ~」とレディGが言うと、「ふふふ…」とミーシャが小さく笑った。


 その笑いに「なにか?」とシスティナが聞くと、「あのねぇ…うちのグンガ…『オークプリンス』と『オーガプリンス』間違っているのよ…」と言う、その言葉にレディGが爆笑を始めた。

 フレディも椅子に座りケイティを見ながら、「…面白いだろう?」と言い、となりの椅子を小さく叩いて招いた。


 その行動に首を傾げながら座ると、「ケイちゃん…気をつけて、その人、ほんとに貧乳の子が好きなのよ」と、ミーシャが笑みを見せて言葉にした。

 ケイティは目を大きくさせてフレディを見ると、ニカニカしながらケイティを見ている。


 「げ…」とケイティ。


 「大丈夫、だから」と親指を立てて言い、再びニカニカとした笑みを見せた。


 その笑み…ポドリアンさんとグリフさんを思い出す…。


 「あっ!」とミーシャが立ち上がると、「クラウト。そろそろ行こっ。グンガら野放しにしていたら大変な事になっちゃうから」と言うと、テーブルの食べ物を集め始めた。

 そして、「みんなも手伝って、食べながら行こう」と言葉にした。


 何故かミーシャの号令の下、朝食をバスケットにいれ、何故かミーシャが先頭になって荷馬車に乗るとレディG、システィナ、そしてケイティ。

 フレディ…と乗ろうとした時にミーシャに蹴られて転がり落ちた、その姿を見ながらアリッサが乗ると、ケイティが顔を出して。


 「セラ…行こう」と声をかけた。


 その言葉に一度ジェンスの顔を見た、そのジェンスの傍にアサトが来て、「僕らは歩きだよ、行こう」と声をかけた、その言葉に頷くと、セラの背中を押した。

 セラは小さく頷くと、かけながら馬車に行く、ケイティが手を差し出して馬車へと誘っているのが見え、その手をセラが掴んだ時。

 ”ドスン!”と何かが落ちたような音が聞こえたとおもったら、なぜかタイロンが四つん這いになりながら馬車から離れて来る。

 すると、手綱を手にしているミーシャが、男らの方を見て、「…ごめんね。お馬さん可哀そうだから、私が引くは、男は歩きよぉ」と、ミーシャが声をかけて進み始めた


 …ってか、ミーシャさん。おっとりしている顔をして、やる事は鬼みたいだ…。


 グンガらが進んだ方向に向かう、その最中にフレディが事の経緯をおしえてくれた。


 話によると、『グルヘルム』でも、『オークプリンス』討伐依頼が張り出されていたそうである。

 この地に来て、依頼所の看板を見ていたら、その依頼を見つけたフレディだったが、色々話を聞いたところ、ちょっとやばい相手とわかり、グンガに知られる前にこの地を後にしようとしていたが、何処からともなく、その情報を聞いたグンガ、『ゲルヘルム』に行って、ぶっ飛ばすと言い始めたそうだ。

 そして、相棒のガリレオもぶった切るを連発し始めたので、他4名で話し合った結果、とりあえず行くことに決めた。


 行くのはいいが、乗り気でなかった4名。


 そこで、ミーシャがそれとなく話題をずらした…、これはいつもの事であるようだ。

 そして、この村に来た時に村人の話しを聞いた、それとなく、ここに常駐を始めた巨大鬼オーガの事だ、この巨大鬼オーガも依頼所に張り出されていたそうだ。

 ミーシャがその依頼書を持ってきていた。

 抜け目のない女だ。

 その日から巨大鬼オーガと言う言葉をしきりに使う4名…。


 頭が単細胞なグンガは、『オークプリンス』をいつしか『オーガプリンス』と呼び始めたそうである。

 そして、ミーシャは、手にしていた依頼書をグンガに見せて、『こんな近くにいたね!』と言うと、ターゲットが、なぜか、この地に常駐を始めた巨大鬼オーガに変更になり…、今に至っているようである。


 …はははは…これは、笑うしかないようですね…。


 森に入ると、数十メートル進んだところが少し拓けていた。

 その入り口で腰を落としてへばっている、もっさりとした盾持ちがいた。

 その向こうに身長が低く、髪を真っすぐに立てたモヒカン頭で、背中に長剣を背負っている男と、そのすぐ向こうに腕組みをしている、上半身裸でモヒカン頭の剣士と同じ位の身長の、短髪に鉢巻きをしている男が腕組みをして立っていた。


 それに対峙している、巨大鬼オーガが3体…。


 そして…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る