第13話 最凶の召喚士とグンガと愉快な仲間達ら 上

 アサトは目の前を駆け抜けていった一団を見てから、クラウトを見た。

 クラウトは眉間に皺をよせながら、険しい表情で一行を見ている。

 その後ろでは、心なしか頭と顔が膨れ上がり始めている少年を、小突いたりひっぱたいたりしているケイティとフードのモノがいた。


 アリッサが見かねて、「もう…おわり!」と言うと、ケイティの手を掴み、フードのモノのロッドを掴んで制止させた。

 すると、いいようにやられていた少年が、アリッサを見上げて、「おねぇ~~さぁぁぁん…」と言いながらアリッサの胸に飛びつくと、胸に顔を押し付け、腰に手を回すと、顔をうねうねと動かし、手を尻に持ってきてもみもみと始めた。

 そして…「痛かった…ありがとう…」と言う。


 その姿を見ていたケイティの表情は鬼である、そして、たぶんフードのなかもそうであろう…、すると、アリッサは掴んでいた腕とロッドを離すと、右手を振り上げ、「いいかげんにしな!」とキツイ一撃を少年の頭上に落としていた。


 その姿を見ていたシスティナが息を飲む。タイロンは肩を竦め、「自業自得だ」と言葉にした。

 アサトは小さくため息をつき振り返ると、再び…


 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、だまされたァァァァァァァァァァ、ウォォォォォォォォォォガぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあったまきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぜったぁぁぁぁぁい!ぶっとばぁぁぁぁぁす!」と言いながら向かった道を戻って来た。


 すると間もなく、同じくらいの身長で背中に剣を携えた少年?が、「まちやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、あいつはぁぁぁぁぁぁおれがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぶったぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃる!」と叫びながら駆け抜けて行き、少年を追いかけて行くと、オーガ?がその後ろをへなへなと走ってゆき…。


 「ほんと…まってよぉぉぉぉぉぉ」と体の大きく背中に盾と大検を持った、もっさりとした男もへなへなと走って行った、そして、「こぉらぁぁぁぁぁまてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」と、背中に弓を背負った女性が駆け抜けて行く…。


 そして…「まってぇぇぇぇぇぇぇ」と腕を横に振りながら走ってくる神官の女性と髪の長い男がついて来たと思ったら、女性が急に立ち止まった。


 振り返って見ていたアサト、そして、一同が、「?」と思っていると、こちらに向かって歩いて来た、と思っていたら、先に行った弓を持っていた女性も立ち止まり引き返してくる、そして、髪の長い魔法使いと思われる男も脇に手を当てながらこちら向かって来た。


 その姿を見たクラウトは、「…ッチ」と舌打ちをした。

 その姿を見てアサトが、「…知り合い…ですか?」と聞くと、メガネのブリッジをあげて、「…面倒なのと出会ってしまった…」とぼそり言葉にして振り返った。


 神官の女性が、「おはよおぉ」と声をかけて丘を上がってくると、その場で空気を大きく吸い、「いいかおりぃ…」と言いながらスープのある場所に行き、スープをよそい始めた。

 しばらくして、「おぃっす!」と元気よく弓を背負った女性がくると、神官の女性の場所まで行き、スープを受け取る、そして、もう一つ受け取るとテーブルに着いた。


 少し遅れて長い髪の男が着くと、「世話になる…」といいながらテーブルに崩れるように座った。

 その前に弓を背負った女性がスープを置くと座り、その隣に神官の女性が座った。


 そして、「…じゃ、いただきましょう」と微笑みながら言うと、スープをすすり始める。


 ってか…この人達は…なに?


 「…あら…おいしい…」と神官の女性、その言葉に、「あ…ありがとうございます」とシスティナが言葉を返すと、「うん。おいしい…ってか、朝ご飯なんて何日ぶりかな…」と、弓を背負った女性が言い、スープを飲んで、ソーセージを手でつまんで食べ始めた。

 その隣でスープを飲んでいる長い髪の魔法使い、「…そうだな…一週間ぶり…かな」と答えると、「そっか…。じゃ、そろそろ諦めさせなきゃね!」と神官の女性が言う。


 そのそばにアサトが来て、「…あの…」と声をかけると、3人はアサトを見て、「…?」と首を傾げた。

 そして、「クラウト…紹介してくれ…」と髪の長い男が言葉にした。


 その言葉に、何処からともなくクラウトが現れると、「…久しぶりだな…。フレディ…」と言葉にした。

 その言葉に、「フ…フレディ…って」とアサト。


 「…あれ?ねぇジェームスとかは?」と神官の女。

 その言葉に、「…ミーシャ…」とフレディが言うと、「…そっか…。」と小さくなった。

 その行動を見て、「…あぁ…幻獣討伐戦でな…」とクラウトが言う。

 その言葉にアサトは小さくうつむいた、


 そうだ、忘れていた…。

 フレディさんはグンガさんの参謀的存在な感じと、サーシャさんが言っていた。

 この人達はもしかして、最強の世代と言われている人達…なら…クラウトさんの仲間の事も知っている、これは、僕だけじゃない、もっと悲惨な現実を味わったクラウトさんにとって酷な事…だから…面倒な人たちに会ったって言ったんだ…。と言う事は…さっき先頭で走って行ったのが…もしかして、グンガさん?


 「残念ね」と弓使いの女性が言うと、「過去は過去だ、今度のチームは?」とフレディが一同を見て。

 「かなり若いのばかり集めたんじゃないか?」と口にした、その言葉に、「いや、そうでもない」と言い、アサトの傍に来て、「この人が、チームアサト、リーダー。アサトだ」と言うと。


 口に含んでいたパンを噴き出してフレディが立ち上がり、「なに?お前がリーダーじゃないのか?」と言う、その言葉にメガネのブリッジを上げて、「…あぁ、僕はその器では無かった、今はこのチームの参謀だ。」と言い、一人ひとり紹介を始めた。


 「盾持ち戦士のタイロン」と言うと、タイロンは手を上げる。

 「盾持ち騎士のアリッサ」と言うと、アリッサは小さく頭を下げる。

 「そして、魔法使いのシスティナ」と言うと、「おいしかったわ」と、女性神官が言葉をかけた、その言葉に小さく肩を竦める。

 「アサシンのケイティ」と言うと、ニカっとした笑みを見せる。


 すると、「私がお笑いチーム、『』の参謀、フレディだ」といいながら、長い髪を耳にかけてケイティを見ると、「貧乳は…だ」と言葉にした。


 その言葉に眉間に皺をよせるケイティ。


 「そして、彼女がミーシャ」と紹介をすると、神官姿の女性は立ち上がり、大きく腰を曲げて頭を下げ、「朝ご飯、おいしくいただきました。明日もお願いしますね」と頭を上げる。

 少し目尻の下がったおっとりした表情で笑みを見せた。

 「そして、レディG」と言うと、敬礼のポーズをとって、「ほんとは違う名前なんだけど、ガリレオがこれにしろって言うから…これにしているんだ。レディでいいよ」と言って、パンを口に詰め込んだ。

 すると、神官のミーシャが座りながら、「で、そこの二人は…いつもここに居るでしょう?」と言い、卵料理に手をかけ始めた。


 その言葉に、二人は前に出て、「…わ…わたしは…」と言うとフードの目の前に手を持って来ると、指でVを作り、そのVを横にした形をとると、フードの奥の右の目の前に持ってきたポーズをとって…。

 「ふふふふふ…わたしは、この『』…名前はセラ!」と言うと、「セラちゃんね。よろしくね」とミーシャが言い、隣の椅子を叩いて、「ここにきて!一緒にご飯食べよう」と声をかけた。

 その言葉に、「…うん」と言い、上げていた腕をおろしてテクテクとその席に座った。


 「…お…おれは…いつもセラにエロガッパって言われている、ジェンスです。となりいいですか?」とあいさつをすると、「ダメよ、わたしはエロガッパ嫌いだから」とミーシャ。


 その言葉に「ガーン」といいながら項垂れた。

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