第10話 湖の街のかわいい厄介者… 下
イタチ…。
と思っていると、イタチは飛び出してきた4人を見る、そして、つかつかと歩み始める。
アサトとタイロンの横を通り過ぎ、そして、クラウトの横を通り過ぎると…アリッサとシスティナの前に立ち、鼻を小刻みに動かしながら、まずは…アリッサを下から頭先までゆっくり見ると…、システィナへ視線を移し、下から頭先までゆっくり見る…、そして、両手で持っているバナナを見ると…。
ケイティは…、なぜかぐちゃぐちゃに汚れていた…と言うか、ねちょねちょしたゼリー状のモノに濡れていた、頭から…足元まで…。
ひくひくしながら、ゆっくり振り返りイタチを見ると、「…ったく…イタ公メ…」と言いながら立ち上がる、イタチはケイティを見る、とバナナを見て、鼻をピクピクと動かす…そして…。
「え?」とアサト。
「…あっ」とタイロン。
「…」とクラウト。
「…え?」とアリッサ。
そして「キャ」っとシスティナが声を上げた。
イタチはバナナを放り投げ、システィナの胸に抱きついたのだ。
それを見たケイティ「……(怒)」」青筋が…こめかみからおでこへ走り始めた…。
システィナの胸に顔をうずめたイタチは、何度かその胸の感触を味わったのち、アリッサを見ると…、鼻をピクピクさせて…ぴょんと飛びついた。
咄嗟に抱えたアリッサ。
すると、やはりアリッサの胸に顔をうずめ、ピクピクと黒く小さな鼻を動かしている。
その光景を見て…。
「え?」とアサト。
「…あっ」とタイロン。
「…」とクラウト。
そして…その3人の後方で、ネトネトになっているケイティは、「…ったく…どいつも…こいつも…動物までも…」と腕を下ろし、その下ろしきった腕の先にある掌を強く握って、力を溜めながら…。
「乳か!」と叫ぶと駆け出す、その先は、アリッサに抱き着いているイタチ。
「乳か?あぁ?乳か!デカい乳がいいのか!!このエロイタ公メ!」と言いながら突っ込み、「っちぇぇぇぇすと!」と叫びながら飛びついた。
すると、咄嗟に動くイタチ、その先は…システィナだった。
それも胸に…、あまりにも咄嗟だったので抱きしめたシスティナ。
すると、満足そうな表情を浮べながらシスティナの胸に顔をうずめる…と、「あっ…」と小さく声を出すシスティナ。
その光景を見て、アサトは、あの夜を思い出して思わず背をむけた。
飛びついたケイティはアリッサに抱き着くと、そこにはアリッサのふくよかな胸がある。
顔を押し付けた状態になったケイティは、その胸の形と大きさ、そして柔らかさを掌で確認すると、踵を返したようにアリッサから離れ、自分の胸を揉む、揉む、…そして…揉むと小さくうつむき、プルプルと震え出した。
その光景を見ている4人。
アサトはゆっくり振り返り、「ケイティ…」と言葉をかけると…、「アサトは…大きいのと小さいの…どっちが好き?」と聞いて来た。
え?…え、え~~~、ここで答えなきゃなんないのぉ…。
「早く…どっちが好き?」と聞くケイティ。
すると、タイロンが顎に手を当て、「どっちって言われれば…、俺は大きいのだな」と言うと…、「ちぇぇぇぇぇぇぇスト!」という掛け声と共に、聞いた事のある音を発しながらタイロンが崩れた。
その光景を見て、「……」と、無言で立ち去ろうとしているクラウト。
その姿を冷ややかな視線で見るケイティ、そして「待て!…むっつりメガネ…」と言うと、クラウトは立ち止まった。
その前に進むと下から見上げる、視線を合わせないように顔を動かすクラウト。
「…アサト…あんたは…どっち?」とクラウトを見て言う。
その気配は…まるで、魔物を相手にしているような感じであった。
すると、「あっ」とアリッサの声が聞こえる。
その声に3人がアリッサを見ると…、さっきのイタチが、今度は、アリッサの胸に飛びついて顔を胸に押し当てながら鼻をピクピクとさせていた、そして…小さな手をアリッサの胸の下へ持っていくと、上へと上げる…。
その光景を見たアサトは、思わず背をむけてしまった。
ケイティは、目を丸くさせながら、「…イタ公…てぇっめぇぇぇぇ…ブッ殺す!」と言葉にすると…、システィナの後ろから…違う1匹が現れたのに気付いた。
システィナの背後から現れたイタチは、黒く小さな鼻をピクピクさせて、ケイティを見る、そして…横になっているタイロン、アサト、クラウトを見ると、再びケイティを見てから、横にいるシスティナを見る…というか、胸を見ながら鼻を数回動かすと…、ピョンとシスティナに抱き着き、小さく黒い鼻をピクピクとさせながら胸に顔をうずめた。
「…あっ、か…かわいい…」と言いながら頭をなでるシスティナ、「あぁ?」とケイティ、システィナの横でアリッサが「もう…ほんとにかわいい」と頬を赤らめ、目じりを下げている。
それを見て、「ああぁ?」とケイティ。
「…もう…いいんかな…答えは出たようだ…」とメガネのブリッジを上げてまっすぐな視線でクラウトが言うと、「あああぁ?」とケイティ、すると腕組みをして、「…いいわ!じゃ、アサト。ちゃんと答えなさい!あなたはどっちがいいの?」と聞いて来た。
「え?」とケイティを見る…と言うか、アリッサとシスティナに抱き着いて、胸をツンツンしているイタチに見とれていてしまっていた…気づかずに……。
その表情を見たケイティは、「…ホ………ンとこの世界の男は…」と言いながら握りこぶしに力を込めていると…、その手に小さなイタチの手が当たった、その感覚を感じて、「?」と、ケイティは見下ろす。
そこには、体長50センチ程のイタチが、握っているケイティの手に手を乗せて、鼻をピクピクさせていた…、それを見たケイティは涙目になって、「…お…おお…おおお……」と嗚咽を伴った声を上げて抱き上げた。
そして…気付くと、周囲にはイタチがわんさかおり、アサトらはそのイタチらから抱っこを要求され始めていた。
クラウトも、アサトも、そして…タイロンは、気を失っていたか…。
まっ、とりあえず、その場の雰囲気はガラッと変わり、和やかで愛らしい表情の生き物と接した心休まる時間となった。
怒っていたケイティも、帰りは終始ニコニコしていたのにアサトは胸を撫でおろしていた。
そして……。
「…あぁ?なに?どういう事?」とケイティ姫…
…”突如のご乱心です!”…
村人に聞くと、湖イタチは、オスは女性の胸に興味があり、メスは、男性全般オッケイのようで、子供の湖イタチは、子供の遊び相手が欲しいようであった。
また、威嚇として、口からゼリー状の唾を大量に吐き出すようである、その村の被害も、このゼリー状の唾であり、特に味が合わない時は、その唾を吐いて立ち去るようであった。ので、作物の味の評価の一つとして考えているようであった…。
と言う事は…。
「なに?んじゃ、あたしは威嚇されて唾かけられたわけ?なに…味が悪いんてぇ?おぉ?…なんの味やぁ…?、あぁ?なに?遊び相手が欲しい?あぁ?あたしは…子供か!ってか、それなんの基準で見分けてるの?何?乳か!どうなんだ!おい村人!説明しろ!全部納得いくように説明しろや!」と村人につっかかっていました…。
村人さん…すみません、うちの姫が………。
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